電動化技術に磨きをかけ、燃費一辺倒のハイブリッドではなく、走る楽しさを感じられる専用のハイブリッドを開発したのもポイント。とくに意識したのが、レスポンスとリニアリティだという。
高効率な1.5L直列3気筒エンジンには、バランスシャフトを組み込み振動対策を施したほか、モーターとバッテリーの出力向上により、100kWのシステム最高出力と、ダントツのWLTCモード燃費27.7km/hを達成した。
レクサス初の組み合わせとなるパワートレーンの完成度は実に高い。ごく普通に乗っているときには、性能的に近い関係にある身内と比べても、なかなかエンジンがかからない印象を受けた。それでいて強めの加速を求めたときには、高出力モーターと高い電気出力を誇るバイポーラ型ニッケル水素電池が効いて、瞬発力のある気持ちのいい加速を示す。
音や振動についても、エンジンのバランスシャフトやマークレビンソン装着車ではアクティブノイズコントロールも効いて、ほとんど気にならない。3気筒としてはよく抑えられていた。
レクサス初めての人にも愛用者にも
新たなプレミアムモデルの提案
フットワークも素晴らしい。サイズのわりに大きなタイヤを履くので、シャシーのチューニングには苦労したそうだが、小さな高級車ぶりは見事なもの。絶妙な設定の電動パワーステアリングも手伝って、切り始めから正確に応答し、無駄な挙動が出にくい。そのうえ操舵感はスッキリとしている。
乗り心地は2WDとE-Fourではリアサス形式が異なり、軸重にも80㎏の違いがあるが、差が出ないように配慮されている。また、前席と後席で乗り味の違いが少ない点も評価ポイント。どの席でも快適なクルージングが楽しめる。
念のためお伝えすると、LBXのTNGAプラットフォームは、GA-Bをベースにしている。構成としてはヤリスクロスとの共通性が高いが、あらゆる部分にレクサス専用開発が施され、両車を比較して「違いが……」というのはまったく適切でないほど、別物に仕上がっている。
LBXは、これから初めてレクサスに乗ろうというユーザーはもちろん、レクサス愛用者のセカンドカーやダウンサイズとして、幅広い層に受け入れられるに違いない。新たなプレミアムモデルの提案である。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)