体幹を鍛えるべき理由

 けがの予防からスポーツにおけるパフォーマンスの向上まで、体幹を鍛える理由は数多くあります。バートンと最新の科学的知見の助けを借りて、その一部をさらに詳しく見ていきましょう。

強い体幹は姿勢を改善します

人間の筋パフォーマンスに関する国際ジャーナル『Isokinetics and Exercise Science』誌の研究(*2)では、体幹トレーニングが身長を少し高くするのに役立つことが示されました。この研究では、「週に3回、1時間のピラティスセッションに2カ月間参加した男性は、姿勢安定性のテストで大幅な改善が見られた」と報告しています。

強い体幹は他の部位の筋肉を強化するのに役立ちます

大胸筋を鍛えることに興味がある一方で、体幹は二の次という人もいるでしょう。ですが、どちらか一方だけでは不十分です。「胸を大きくしたいのに体幹が弱い男性は、前かがみになったり、肩が丸くなったりしがちです」と、バートンは言います。体幹エクササイズはその丸みを修正し、あなたが夢見ていた胸を手に入れるのに役立ちます。

 筋力を強化したい場合はデッドリフト、スクワット、ベンチプレスなどの複合種目に重点を置くのが効果的です。これらの動作を正しいフォームで行うには、強い体幹が不可欠と言えます。体幹が強ければ身体全体でより大きな力を生み出すことができ、背中を安全に保ちながら、より多くの反復回数で重い重量を扱うことができるでしょう。

トレーニングをする男性Photo:Getty Images

強い体幹は他のスポーツでも役立ちます

 オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの研究者による研究*3では、多くの人の体感深部の筋肉は本来あるべきほど強くなく、それが弱いランナーは腰痛を発症するリスクが高いことがわかりました。

 ランナーを悩ませる腰痛は、体幹の弱さによって引き起こされるフォームの乱れが原因で、それには明らかなデメリットもあります。バートンは次のように言います。

 「ランニング中に前かがみになると、肺に取り込める酸素の量が減ります。走っている人が頭を垂れ、肩を丸めているのを見たら、コーチングのポイントは『頭を上げて肩を後ろに引くこと』です。目指すのは、肺により多くの空気を取り込むことです。筋肉は酸素なしでは機能しません。筋肉に酸素を供給し、体を直立させるシステム全体が体幹に依存しているのです」

 強い体幹があれば、より良いランナーになれるだけではありません。ほとんどのスポーツは体幹に依存しているため、パフォーマンスを向上させたい場合は、体幹トレーニングを取り入れる必要があると言えるのです。

athletic man doing the plank for abs and corePhoto:Paper Boat Creative//Getty Images