米国の富裕層の間では、自国以外の海外資産を組み入れるグローバル投資の動きが、以前にも増して加速しているという。日本と海外の投資・経済を知り尽くした金融マン待望の初著書『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)では、富裕層がやっている国際分散投資を、一般の個人投資家に向けてわかりやすく解説! 投資バランスは「保守:積極:超積極=5:3:2」、1銘柄の投資額は資産全体の4%以内で、資産全体の2割は現金買付余力に――など、「これならできそう」「続けられそう」と思えるグローバル投資の秘訣を明かした1冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、グローバル投資の極意をわかりやすく伝授する。
おすすめ銘柄トップ10
グローバル投資におすすめしたい銘柄トップ10を紹介したいと思います(グローバル投資でおよそ半分を占める米国株については、すでに多くの情報がメディアにあふれており、本書の主旨からも外れますので割愛します)。
トップ10銘柄のセクターはさまざまですが、いずれもこれからの世界の経済と社会でますます重要になる「2大テーマ」(社会的インフラ・格差社会)に関わっているという共通点があります。
おすすめ銘柄④
世界人口増でタバコ市場が
右肩上がりで成長
銘柄名 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)
ペーパー・タバコ加熱・口腔用製品など、従来のタバコ事業に加えて、タバコ・ニコチン製品のポートフォリオを構築するために投資。世界的に統合されたサプライチェーンを管理し、世界中の小売店に販売。事業は米国・アジア太平洋・中東・南北アメリカ・サハラ以南のアフリカ・欧州・北アフリカに分かれる。最新の口腔用製品は白色パウチに詰まっており、ニコチン・水およびその他の食品グレードの成分からできている。
私がブリティッシュ・アメリカン・タバコを評価するのは、割引キャッシュフロー(DCF)法で、将来の企業価値を現在価値にしたときの株価が割安だから。
今後も成長が期待できます。ビジネスモデルも非常に堅固であり、フリーキャッシュフローが毎年ちゃんと出ており、競合他社が参入しにくいという点も高く評価しています。
健康意識の高まりや広告の規制などの影響を受けて、日本などの先進諸国では喫煙者は右肩下がりになっています。
世界的にも喫煙者は減る傾向にありますが、それでも10億人以上もいます。特にアフリカなどの新興国やイスラム教徒の国々では、喫煙者の割合が依然として多いようです。
喫煙者・喫煙量増加の見立て
また、世界人口が2050年には100億人に迫るという予測もあり、喫煙者・喫煙量は増えるのではないかという見立ても成り立ちます。
米調査会社のレポートオーシャンによると、2021年から2027年にかけてタバコの市場規模は年平均成長率6.7%で伸び、2027年には2628億ドル(日本円でおよそ35兆円)に達するとされます。
また、世界では麻に含まれている幻覚物質であるマリファナを吸う人口が増えており、最近タイではアジア諸国で初めて大麻の家庭栽培が合法化されて話題になりました(公共の場所での吸引は規制)。日本では、医療用の解禁に向けた動きも出ているようです。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコはマリファナを販売するわけではありませんが、タバコとマリファナは親和性が高いうえ、飲食物市場への広がりが出てきます。
グローバル市場で
存在感を発揮し続ける
それというのも、マリファナ成分入りの飲料や食品の普及を通じた消費拡大が想定され、結果としてマリファナ消費の拡大にもつながりやすくなるからです。
米国のボストン・ビールやコカ・コーラなどは、マリファナ入り飲料に着手しています。
世界シェアでは、中国の中国煙草総公司、米国のフィリップ・モリス(PM)に次いで第3位ですが、ステークホルダー(利害関係者)とともに持続可能な社会の実現に向かって取り組んできた実績や、投資対比での高いキャッシュフロー創出といった経営力の視点から、これからもグローバル市場で存在感を発揮し続けるのは、ブリティッシュ・アメリカン・タバコだと私は評価しています。
それに続く世界シェア第4位には、日本たばこ産業(2914)がランクインしています。
※本稿は、『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。