定年後に年次有給休暇は持ち越せるの?

 定年退職後、引き続き同じ会社で嘱託社員として働く方は、結構多いと思います。このとき、定年退職日までに使いきれなかった年次有給休暇はどうなるのか気になりませんか?

 定年によって、これまでの労働契約は終了し、再雇用で新たな労働契約を結ぶことになります。そうなると、年次有給休暇もリセットされると思われるかもしれません。ところが、労働基準法における年次有給休暇の取り扱いに関しては例外があります。

 年次有給休暇を付与する要件としては、「継続勤務」と「出勤率」があります。継続勤務とは在籍期間を指しますが、定年退職後に嘱託社員として再雇用されるのは、社内における身分の変更であり、実質的には労働関係が継続しているものと考えられます。よって、年次有給休暇については定年でリセットされることはありません。これは、定年するときに退職金をもらっている場合も含みます。

 ただし、定年退職後、再雇用までに相当の空白期間があり、客観的に労働関係が断絶していると認められる場合には通算されません。

 なお、未消化の年次有給休暇については、2年間の時効によって消滅するまで使うことができます。定年後の付与日数は、付与されるときの労働条件によって決まる点も覚えておきましょう。

年次有給休暇の基本的な考え方年次有給休暇の基本的な考え方 拡大画像表示
【10秒チェック!】正社員から嘱託社員に変わったとしても、実質的に雇用関係が継続している場合は、定年時に残っていた年次有給休暇は引き継がれます。