米国の富裕層の間では、自国以外の海外資産を組み入れるグローバル投資の動きが、以前にも増して加速しているという。日本と海外の投資・経済を知り尽くした金融マン待望の初著書『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)では、富裕層がやっている国際分散投資を、一般の個人投資家に向けてわかりやすく解説! 投資バランスは「保守:積極:超積極=5:3:2」、1銘柄の投資額は資産全体の4%以内で、資産全体の2割は現金買付余力に――など、「これならできそう」「続けられそう」と思えるグローバル投資の秘訣を明かした1冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、グローバル投資の極意をわかりやすく伝授する。
おすすめ銘柄トップ10
グローバル投資におすすめしたい銘柄トップ10を紹介したいと思います(グローバル投資でおよそ半分を占める米国株については、すでに多くの情報がメディアにあふれており、本書の主旨からも外れますので割愛します)。
トップ10銘柄のセクターはさまざまですが、いずれもこれからの世界の経済と社会でますます重要になる「2大テーマ」(社会的インフラ・格差社会)に関わっているという共通点があります。
おすすめ銘柄⑦
半導体需要の伸びから
さらなる成長を期待
銘柄名 台湾積体電路製造(TSM)
集積回路およびその他の半導体デバイスの製造・販売・パッケージングテスト、マスクの製造、コンピュータ支援設計サービスの提供を行う。パソコン・周辺製品、情報アプリケーション、有線・無線通信システム、産業機器、デジタルビデオディスクプレーヤーなどの家電製品、ゲーム機、デジタルテレビ・カメラに使用される。また、5ナノメートルプロセス技術、マスク技術、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサー技術、3次元集積回路、システムオン集積チップ技術なども開発。米国・アジア・ヨーロッパに製品を販売する。
半導体が「産業の米」といわれて久しいのですが、IoT(モノのインターネット)が本格化するにつれて、半導体の需要はいっそう高まっています。
コロナ禍とそれによる中国の都市封鎖の影響で、世界的な半導体不足が起こり、日本でもエアコンや洗濯機、給湯器などが品薄になったり、トヨタ自動車(7203)などの自動車生産が滞ったりしたのは記憶に新しいところです。
スマホの5G化・6G化、自動車のEV化、ヒトや温度、湿度などを感知するセンサー技術、端末の近くにサーバーを分散配置する「エッジコンピューティング」などが進むと、半導体が活躍する場面は増える一方です。
世界最大の半導体受託製造企業
この先数年間で、インターネットに接続されているデバイスの数は90%以上伸びるという報告もあります。ヒトやデータを含めたIoE(すべてのインターネット)化が現実のものになれば、あらゆるモノに半導体が実装されるかもしれません。
こうした半導体需要の伸びに応えているのが、世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)である台湾積体電路製造なのです。
日進月歩で技術改革が進む半導体製造の世界では、工場や製造装置への投資には大きなリスクがともないます。
半導体をオーダーメイド
そこで台頭しているのは、半導体の設計・開発にフォーカスするファブレス(自社工場なし)半導体企業。
米国のクアルコム(QCOM)、ブロードコム(AVGO)、エヌビディア(NVDA)などが存在感を高めています。
そうしたファブレス半導体企業からの委託を受けて、彼らの要望に応えた半導体をオーダーメイドでつくっているのが、台湾積体電路製造なのです。
日本の半導体新工場
稼働ラッシュの筆頭
その名の通り、本拠地は台湾ですが、米国など海外にも工場を広げています。
日本においても、ソニーグループ(6758)、デンソー(6902)と子会社JASMを設立。
総投資額86億ドル(約1.1兆円。そのうち最大4760億円を補助金として日本政府が拠出するとされています)をかけて、熊本県に新たな工場を設立。2024年12月の生産開始を見込んでいます。
株価に十分
織り込まれていない伸びしろ
台湾積体電路製造は、世界最大級に時価総額が大きい半導体企業です。
株価はかなり高い水準にありますが、世界人口が増えるにつれて半導体需要も伸びることから、しばらくは世界のGDP成長率を上回る成長が望めると考えています。
こうした業績の伸びしろは、株価に十分織り込まれていないのです。
※本稿は、『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。