研修資料を「マニュアル」と
表現するのがマスコミの仕事

 では、「中立公正」を掲げるマスコミの皆さんはこの文書をどう報じたか。

 ・失言相次ぐ自民、防止マニュアル配布 幹部「あきれる」(朝日新聞デジタル 2019年5月22日)

 ・失言防止マニュアル 自民が議員に配布(NHK 政治マガジン 19年5月16日)

 ・発言は切り取られる…自民党が失言防止マニュアル作成(産経ニュース 19年5月22日)

 ・強めのワードに注意…自民が"失言防止"マニュアル作成 党関係者は「情けない」(毎日新聞 19年5月14日)

 なぜみんなコピペをしたように「失言防止マニュアル」という言葉で統一されたのかというと、そっちの方が「話が面白いから」である。「外部講師の研修資料」というとパンチに欠けるので、その事実は伏せて、書いてある中身だけを切り取って「失言防止マニュアル」とバズるようなネーミングにしたのである。

 いや、批判をしているわけではない。私もテレビ、新聞、週刊誌で働いてきたのでニュースの「価値」を上げるということがどれほど大変なのかということは、身をもってわかっているつもりだ。「これくらい話を盛る」というと語弊があるが、多少の脚色はしょうがないと思っている。

 問題は「ミスリード」につながることだ。この文書の中で語られていることは全て私が考えて、私が喋っていることだ。なんなら本連載でもよく話しているようなメディアの情報操作の話である。

 つまり、自民党が作成したわけでもないのだ。一行足りとも関わっていない。しかし、SNSなどでは「自民党がこんな風に考えているとはケシカラン」とか「切り取られた発言が誤解されるとかどの口が言ってんだ」という感じで、私が作成した資料や考え方が、自民党への攻撃材料にされているのだ。