10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

学校では成績がよいのに「進学塾」で落ちこぼれる子の共通点Photo: Adobe Stock

塾の算数テストで0点に近い点数を取ってしまうことは珍しくない

 中学受験をする場合は、4年生から進学塾に通うことが多いです(正確には小3の2月)。すると、算数で0点に近い点を取ってしまうことがあります。多くの親御さんは、そこで初めて衝撃を受けます。「算数、こんなにわかってなかったの!?」って。

 でも、それは当たり前。進学塾で小4向けの問題を解くためには、実は5~6年生までの範囲をざっくりわかっていないと厳しいです(割合や速さなど、一部の単元は除きます)。だから、親が落ち込む必要はありません。

「能動的」に楽しく勉強する習慣をつけておく

 けれども、お子さんが受けるショックは想像以上に大きいです。「学校ではけっこう成績がいいのに進学塾だと下のほう」に位置付けされたお子さんは、必ず劣等感を抱くことになります。

 これは、要注意ポイントなのでよく聞いてください。
 中学受験を予定している子どもたちというのは、1~3年生の間は、学校ではみんな上位層です。それほど勉強で苦労した経験はありません。以前、お話ししたように、受け身で授業に臨んで、ある意味、のほほんと過ごしてきました。

 ところが、進学塾に入った途端、思考力が問われることをガツガツやらされます。そして、塾によっては成績順でクラスを分けたり席を決めたりします。「お前は下のレベルだ!」ということを突きつけられる子が、少なくとも2分の1は生まれるわけです。そうすると、誰だってイヤになりますよね。「自分はできる子だ」と思っていたのに、それが打ち砕かれてしまうのですから「もう勉強したくない」となっても仕方ありません。

 その結果、中学受験のボリュームゾーンである「学校ではけっこう成績がいいのに進学塾だと下のほう」の沼にハマり、抜け出せなくなってしまうのです。
 だからこそ、低学年のうちに能動的に、楽しく勉強することが大事。1~3年生でそれができていた子は、4年生以降、進学塾に入っても同じように取り組めます。
 要するに、「能動的に楽しく勉強する」という習慣を早いうちに身に付けさせることが、子どもの能力を伸ばす一番の方法なのです。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。