小さくてもいい。「人生の楽しみ」を作る
私の場合、ベッドから出て、やりたいことを考え、どうやったらそれを楽しくやっていけるかを想像するだけでも少しは気分が晴れます。調子のいい日にはお気に入りの服を着て街に出て、イマイチの日にはベッドの中から植木鉢の花や観葉植物に新芽が出ていないかを観察します。
私の楽しみリストの中に、写真も入っています。もともと写真を撮ることが好きなので、旅先ではいつも率先してカメラマンを引き受けているくらいです。ところである時、水滴を撮影した写真を拡大してみると、その小さな水滴の中に周りの景色が写り込んでいることを発見したのです。
「こんな小さなところに、私の知らない世界があったなんて!」
それ以来、水滴の写真を撮ることが趣味のひとつに加わりました。すると、アスファルトの間から草花の上の朝露まで、あちこちの水滴がどんどん目に飛び込んでくるようになりました。どれだけ撮っても、水滴というモチーフは尽きることがありません。撮影を続けるうちにもうひとつ発見したことがあります。
それは、世界は自分が見たいと思う分だけ見せてくれるのだということ。
つまり、楽しく生きようと決心した人の世界には、楽しみがどんどんあふれ出すということです。42歳でパーキンソン病と診断され、65歳を過ぎた今、改めてそう思います。
(本原稿は『もし私が人生をやり直せたら』から一部抜粋、追加編集したものです)