縦の軸が学校適応の高さを表し、上に行くほど「うまくいっている」という感覚が強いことを意味する。横の軸は時間経過を表している縦の軸が学校適応の高さを表し、上に行くほど「うまくいっている」という感覚が強いことを意味する。横の軸は時間経過を表している。 拡大画像表示

 次に、中央の「学校適応感」が変化していない直線に注目してみましょう。ここでは分かりやすくするために直線で描きましたが、実際には多少の変動があるものだと思ってください。この線は、例に挙げた3名の新入生のうちでは、Cさんの学校適応感と似ています。

 Cさんも進学後に全く苦労がなかったわけではありません。ただ、自宅から高校までの距離が近くて通学がラクだったり、幸運にも入学早々に気が合う友人に出会えたり、Cさん個人と学校環境との「マッチング」という観点では、全体的にみるとAさんやB君のそれより良好だったのです。

 さらに、一番上の線、「学校適応感」が入学後に上昇している軌跡をみてください。中学校の時よりも、高校進学後に個人と環境がマッチしていれば、この軌跡が示すように「学校適応感」を含むさまざまな心理的な傾向がより良い方向に変化することもあります。

 進学後につまずいてしまったAさんやB君も、何らかのきっかけで学校環境との「マッチング」が改善するようであれば、この軌跡は上を向き始めるでしょう。今まさに入学後でつまずいてしまった人にとっては、こうした可能性に少し希望がみえるかもしれません。