ざっくり言えば、「外向性」は社交的であったり、活発さを表したりする性格の側面。「神経症傾向」はネガティブな気持ちになりやすいなど、情緒の不安定さを表す性格の側面。「協調性」はいわゆる思いやりをもって他者と接する性格の側面。「開放性」は新しい経験や空想を好んだりする性格の側面。「勤勉性」は真面目で、計画を立てて目標を追求するような性格の側面を意味します。

 さて、次の2つの文は、それぞれみなさん自身にどのくらい当てはまりますか?

「まったく違うと思う」が1点、「どちらでもない」が4点、「強くそう思う」が7点だとして、1~7点で評価してみてください。

・活発で、社交的である
・ひかえめで、おとなしいと思う

 1つ目の文に低い得点、かつ、2つ目の文に高い得点をつけた人は、「外向性」が低い、つまり「内向的」な性格であると言えるかもしれません。例に挙げたAさんのように内向的な人であるならば、大人数で騒いだり、初対面の人と積極的に話したりする状況で、他の人よりも大変に感じる場合もあります。

 対照的に、1つ目の文に高い得点、かつ、2つ目の文に低い得点をつけた人は、こうした状況でどう感じるでしょうか。B君のように「外向的」な性格であるために、ストレスに感じるどころか、むしろ楽しく過ごせるかもしれません。

 このように、同じような経験をしても、個人要因(ここでは性格)によって影響の度合いが変わってきたりすることがあるのです。もちろん、個人要因は性格の違いだけではありません。性別や身体的な特徴なども、高校進学後の心の状態に影響する個人要因になりえます。日本ではそこまで注目されませんが、アメリカでは民族的にマイノリティ(例えば、アフリカ系アメリカ人)であるかどうかについても、高校進学後の適応に影響する個人要因として注目されてきました。

個人の性格やニーズが学校環境と
マッチング(適合)しているか

 さて、一人ひとりが進学後に異なる軌跡をたどる理由について、ここまで2つの要因を取り上げました。察しのよい人はもうお気づきかもしれませんが、実は、心理学ではこの2つの要因の組み合わせが、高校進学と心の関連を説明するうえで重要だとされています。