ガムを取り巻く社会環境の激変

 あるガム業界のOBは、「減少の要因は決定的なものはなく、複合的なものではないか」と話す。グミが持つ嗜好性への支持が高まっていることは事実だが、ガムを取り巻く社会環境はこの10年間で様変わりしたからだ。

 コロナ禍の前から「働き方改革」が叫ばれ残業時間が減少、その結果、リフレッシュシーンに使われる頻度は低下した。眠気覚ましのシーンでは、コンビニエンスストアを筆頭に100円程度で買えるコーヒーがより身近になり、カフェイン入りのエナジードリンクなども増えてきた。

 スマートフォン(スマホ)の普及も無視できない。時間つぶしにガムをかむ習慣が減ったり、コンビニエンスストアなどでレジに並ぶ際にスマホ画面に集中したりして、「レジ周辺に陳列されることが多いガムを買わなくなったのではないか」(前出のOB)という見方もある。

 SNSでは友人やインフルエンサーが日々投稿する。音楽や動画もいつでも楽しめ、ガムで気を紛らわす必要性が薄れている。実際、日本チューインガム協会の統計では、スマホが急拡大した2011~2014年のガム市場の減少率が大きかった。

Z世代のSNS発信を、上の世代が注目

 ガムの解説がやや長くなってしまった。グミ人気を語る上で、ガムとの比較がわかりやすいのでお許し願いたい。では、話をグミに戻そう。国内メーカー首位の明治の吉川尚吾さん(グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部カカオニュービジネスG長)は「グミ消費のけん引役は30~40代女性」と語る。SNSとの親和性から、Z世代などもっと若い層かと思いきや、大人の女性がグミの主力購買層だという。多くの業界関係者は「Z世代は情報発信力があるが、購買力としては大きくない。発信を受けて、購買力がある上の層が実際に手にとっている」(平元彦さん=ナシオ)という構図だと見る。