20~30代の好感度が高いグミ

 グミとガムを比較すると、需要層で一部に違いが見られる。JMR生活総合研究所の調査(2023年5月)によると、グミの方が20~30代でより食べられている。食べた理由の上位3つでは、グミは「おいしい」「かみごたえ」などの嗜好性、ガムは「口の中がすっきりする」などの機能性で高く、ニーズの違いがうかがえる。

 年代別に好意度を見ると、グミでは20~30代で「非常に好き」が全体と比較して高い。今後の利用意向では、グミでは20~30代で高く、若い年代を中心に需要が拡大。60代で見ると、グミと比較してガムの今後の利用意向が高く、ガムの機能性を評価している。

 なお、本書の独自調査では「グミは、ガムのように硬くならず、吐き出したりしなくていい」(大阪府の47歳女性)や「捨てるタイミングや場所を考えなくていい。だからガムからグミへ乗り換えた」(兵庫県の71歳の女性)という声もある。なお、独自調査の手法については後述する。

スナックやチョコレートと一緒に買われるグミ

 グミはどんな商品と一緒に買われているのだろか。ID-POSデータの収集・分析を手掛けるTrue Dataの上席執行役員、越尾由紀さんの協力を得て、ほかの商品との関係性を見るのに最も適している「バスケット分析(同時併買分析)」をしてみた。

 その結果、グミ購入者全体では、「スナック」「チョコレート」「キャンディー類」を同時購入する人数・回数ともに多く、菓子として購入されていることがうかがえた。ガムとの併買率は低いが、人数、回数の併買リフト値(※)は高く、代用関係にあると見られる。

 年代別に見ると、10代は「スナック」「チョコレート」「キャンディー類」だけでなく、「水産珍味」や「ラムネ」との併買が多い。併買リフト値も高いことから「かみごたえ」を重視している可能性がうかがえる。20代は「キャンディー類」との同時購入が多く、人数、回数ともに併買リフト値も高い。30代、40代は、「スナック」「チョコレート」「キャンディー類」との同時購入がリフト値を見ても高く、菓子としての購入ようだ。

 また、併買者や回数自体は少ない「ラムネ」はどの年代でも人数、回数リフト値が高く、「かみごたえ」としてのニーズが似ている可能性はある。

 一方、ガムはどうか。グミと違い「スナック」「チョコレート」との併買リフト値は高くない。つまり、ガム特有の併買商品とは言えない。ガムとキャンディー類、ガムとグミについては、全体での併買者数が20位以内に入っており、人数、回数ともに併買リフト値が高い。その点では、ガムもグミも同じように、口寂しいときに食べたり、かむことで気分転換したりしたいニーズを満たしているようだ。

※リフト値とは、マーケティング施策の効率性を示す指標。「lift(リフト)」は「持ち上げる」「高揚する」などの意味を持ち、マーケティング施策を実施したことで、実施しない場合と比較して、どのくらいの効果を得られたのかを示す指標になる。具体的には、ある特定の「商品A」を購入した人が、別の「商品B」も一緒に購入する確率の算出に用いられている。この場合、「Aが購入されるときにBも購入される確率(併買率)」を「来店者全体でBが購入される確率(買上率)」で割ったもの。リフト値が高い商品の組み合わせは、商品Aの購買によって商品Bの購買量が引き上げられていることを示す。リフト値が高いほど併買される可能性が高く、「ついで買いが期待される」と評価できる。