データ分析よりも先に
課題の洗い出しからはじめよう

 データサイエンスの領域では、データ分析のための強力かつ新しい分析手法が日々生まれています。優秀なデータサイエンティストほど分析手法の引き出しが多く、また新しい手法にも敏感です。

 一方で、分析手法オタクの未熟な自称データサイエンティストがいたとして、その人に丸投げすると何が起きると思いますか?

 その業界の事情をよく理解することなく、ピントの合わない課題を勝手に設定し、高度な分析手法を得意げに用いて、現場が求める課題解決とはまったくマッチしていない結論を出してくる。こうした悲劇がしばしば起こります。当然、その提案をもとに施策を打っても成果が出るわけがありません。

 重要なことはデータをどう「分析」するかではなく、どう「活用」するかです。

 そのためには、いまあるデータ云々はいったん脇において、課題の洗い出しから始めていきましょう。

 例えば、商品開発部の課題解決に乗り出すのであれば、現場と一緒になって課題を洗い出し、ひとまず設定するのがファーストステップです。

 一緒に課題を洗い出すことで、データサイエンティストは業界の事情や現場のリアルな課題感を理解できるようになります。また、商品開発部はデータから何が見え得るか、どんな価値があるのかを実感できるようになります。

 最初の段階から、両者がデータサイエンスの思考プロセスでゴールに向かって仕事を進められるようになるのです。