
海外・国内旅行ガイドブックの決定版『地球の歩き方』から、今回紹介する記事は「【アメリカ】これが温泉なのか?行くのが大変すぎる『あこがれの温泉』が絶景すぎた!」です。アメリカ・ネバダ州北部に湧く「フライランチガイザー(Fly Ranch Geiser)」。「世界の絶景」では常連の「有名な温泉」ですが、私有地にあるため実際に訪ねた人はほとんどいません。それが、2018年からツアーで立ち入れるようになったため、温泉マニアとして念願のガイザーを訪ねてみました。(写真・文/鈴木浩大、監修/地球の歩き方)
憧れの「温泉」のため
アメリカの砂漠までやって来たのに…
■バーニングマンのポスターが出迎え

起点となる町はネバダ州のリノ。サンフランシスコから1時間のフライト、または車で北西へ4時間(380km)の場所にあります。巨大都市のサンフランシスコからレンタカーで出発する自信はなかったので、空路でリノに向かいました。リノの空港に着くと、ずらりと並ぶバーニングマンのポスターが迎えてくれます。

バーニングマンとは、ネバダ州北部のブラックロック砂漠で夏の終わりに開催される奇妙な祭りの名前です。ある人はひたすら踊り、ある人は参加者が持ち込んだ奇妙なアートを楽しみ、ある人は何もしない。電気もガスも水道も宿泊施設もない砂漠で、毎年7万人ほどの参加者が、物々交換をしながら1週間を過ごします。最後に「マン」と呼ばれる巨大な人型の像を焼き尽くすことから、バーニングマンと呼ばれています。
■フライランチガイザーの歴史
100年以上前に井戸を掘削していて間欠泉が噴出したのが始まりといわれます。その後、しばらく放置されていましたが、1964年に地熱調査で再掘削したところ、熱水が噴出し、析出物が堆積し始めました。巨大な噴泉塔に成長した今も、勢いよく温泉を噴き上げています。ダイナミックな形状と色彩は一度見たら忘れられません。
なお、ガイザーは間欠泉の意味ですが、休みなく噴き上げています。長い間私有地にあって見学できませんでしたが、バーニングマンを主催する組織が、2016年に一帯の土地を650万ドル(当時の相場で約7.5億円)で購入。2018年から、日帰りツアーでの公開が始まりました。
■集合場所のガーラックを目指す

見学するにはWEBでの事前申し込みが必要です。ツアーは春から秋の土曜限定で、開催日はWEB上に掲載されます。1回3時間のツアーは20名限定。参加料は1名50ドル(7500円)と安くありません。
集合場所のガーラックまではリノから車で2時間かかるので、レンタカーが必要です。朝早めにリノを発ち、余裕をもって到着しました(注:集合場所は変わることがあります)。

参加者はまず互いに自己紹介をします。温泉バカしか来ないと思っていましたが、大半は一般の旅行者。筆者以外は地元のネバダ州か隣のカリフォルニア州の在住者でした。「ガイザーを見るために日本から来た」と挨拶すると、どよめきが起こりました。

■おいそれとは見学できない

ガーラックからさらに30分、車で北上。「侵入禁止」の札がある柵を主催者が開けて、草地に車を停めます。一刻も早く噴泉塔と対面したいのですが、バーニングマンのイベントや環境保護の取り組みの説明が延々と続きます。主催側は広報活動を兼ねて土地を購入したのですから、我慢するしかありません。

