ですから長い時間立っているときは、体重を左右均等にかけるか、どうしても片方重心で立ちたいなら、体重をかける足をときどき入れ替えるようにしてください。

 なお、いい立ち方として「気をつけ」の姿勢をイメージする方も多いかと思いますが、背筋を伸ばしすぎるのも、実はよくありません。背骨は本来ゆるやかなS字カーブを描いているので、伸ばしすぎると骨盤の前傾のしすぎ、いわゆる「反り腰」を誘発する可能性があります。

 反り腰もまた、腰痛や肩こり、首の痛みの原因になってしまいます。

いつも同じ手でカバンを持つと
体がゆがんで肩の高さも変わる

 突然ですがクイズです。右手でカバンを持ったとき、もっとも負荷がかかるのはどこの筋肉でしょうか?

「右手でカバンを持つのだから、当然、右腕や右肩の筋肉に負荷がかかるはずだ」と思うかもしれませんが、実は、もっとも大きな役割を果たしているのは反対側の腰、すなわち左側の腹斜筋や腰方形筋です。右手で持ったカバンを、左の腰で引き上げているのです。

右手でカバンを持ったとき最も負荷がかかるのはどこ?体の歪みを直す超簡単テクニック
両手を均等に使ってカバンを持つ習慣を。本書より転載/Illust:(C)徳丸ゆう 拡大画像表示

 原理としては、サイドベントというトレーニングと同じです。これは片手でダンベルを持ち、持っていない方の手は頭の後ろに当てて、ダンベルを持つ側に体を倒すトレーニングです。筋トレに興味がない方だと、ダンベルを持っている側を鍛えていると誤解しがちですが、実際には何も持たない方の腹斜筋(脇腹)を主に鍛えています。

『疲労がふっ飛ぶ!10秒ゆがみリカバリー』書影『疲労がふっ飛ぶ!10秒ゆがみリカバリー』(久保田武晴、自由国民社)

 サイドベントの場合、片側が終わったらダンベルを持つ手を入れ替えて反対側もやるのでバランスよく鍛えられますが、カバンを持つ手はどうでしょう。きちんと持ち替えていればいいのですが、いつも同じ手でカバンを持っていると、カバンを持たない側の腹斜筋ばかりが酷使されて硬く収縮していきます。

 するとどうなるか。いつも右手でカバンを持つ人は、左の腹斜筋や腰方形筋が収縮するので、その結果、骨盤と肋骨の間が狭くなり、姿勢が悪くなったり、疲れやすさや腰痛の原因になってしまいます。

 こうした状況を回避する最良かつもっとも簡単な方法は、カバンを持つ手をときどき入れ替えることです。それだけでも硬くなっていた筋肉が徐々に緩み、正常な状態に戻っていきます。