しかし、SNSで大々的に気象予報士を目指すと発表してしまいました。
「ネットで見たよ? 気象予報士の勉強してるんでしょ? 頑張ってね!」
 とキラキラした目で尋ねてくる同業者が沢山いました。思わず、
「うん。何者かにSNSを乗っ取られたんだ。パスワードを強化しようと思ってる」
 と何度も言いかけます。

 でも、X(旧Twitter)を何者かに乗っ取られて気象予報士試験の挑戦をポストされたというミステリーをでっち上げるには語彙力が足りません。「なんのためにそんなことするの?」と返されれば、もうその人の目は見られない。登りはじめてやっと山の大きさを知りました。

 モチベーションアップのために気象予報士試験に合格したときの自分を想像します。

 拍手喝采の雨予報です。

合格までの果てしない道のり 気象予報士試験(2)

 気象予報士試験は、「一般」「専門」「実技」という3つの難関をクリアしてはじめて完全な合格となります。半年でこの3つをクリアすると豪語して勉強を始めましたが、やればやるほどその難易度の高さがわかってきました。

 僕にとっては、「科挙」並みです。社会の教科書に載っているあの科挙です。社会の資料集で見た、着物全部に漢字を書き込んでカンニングしようと科挙の試験に臨んだ青年を思い出しました。

 文系で、筆者の心情を25字以内で読み取ってばかりいた僕には、はじめて見る公式や英数字が立ちはだかりとてつもない道のりに感じました。しかし、成長のためには苦しい道のりも乗り越えなくてはなりません。自分を奮い立たせ今日もまた鉛筆と消しゴムを握ります。

 15分で投げ捨てます。

 しかし悪い状況というわけではありません。試験としては、15問中11問だけ正解すれば合格です。しかも1問には4つか5つの選択肢があるマークシート方式です。生まれ持った強運をこの上なく発揮すれば、偶然の全問正解もありえるのではないでしょうか。しっかりと先祖の墓をお参りして、ラッキーカラーさえ把握しておけばなにも怖くないのではないでしょうか。