試験が終了しました。その日1日は、「一般」につづいて、「専門」「実技」の試験もありましたが、「一般」部門の試験で燃え尽きた僕は荷物をまとめて帰ることにしました。ボクサーでいうと1R失神KOでボクサーパンツもずるずると脱げた状態です。

「でも僕は、この経験を無駄にはしない。」

 試験会場の校門を去るとき、カッコつけて胸に手を当てて小声で呟きました。そうでもしないと高い受験料と費やした時間の元が取れない気がしたのです。元を取るためにドラマの主人公になったつもりでいました。もっと元を取るため、試験会場にあった訳のわからない美術館の割引券とか変なパンフレットとかも持ち帰りました。

 ものすごく腹が減ったので大盛りのラーメンを食べました。

自分は、あきらめの悪い人間です 気象予報士試験(4)

 はじめての気象予報士試験は「一般」部門不合格。

 完全な合格には、「一般」「専門」「実技」というジャンルをクリアしなければなりませんが、まずとにかく「一般」という最初の難関をクリアしなければ話になりません。半年の勉強で一発合格してやると意気込んでいました。でもそれはハードすぎました。

 仕事をしながらの朝2時間、夜2時間の勉強はよくやったと思います。勉強のためにロケをやる島にも天気の本を持って行きました。潮と雨でぐちゃぐちゃになって大事なところが読めず悶々としたこともあります。新幹線で移動するときはYouTubeの気象予報士試験関連の講座をずっとイヤホンで聴いていました。毎回、これ以上ない極上の睡眠へ誘われました。まさに雲の上にいるようでした。台風の構造や雲の形などは勉強していて「へええ!」と思うことが何度もあってワクワクしました。

 簡単に取れる資格ではないからこそ、取ったときの喜びは大きいのです。夢としては、夕方のニュースでお天気お兄さんとして、きっちりとした自分の見解を基に天気を予報して外し、翌日に土下座で謝るという流れをやりたいのです。当たったら当たったでそれは嬉しいですし。

 その壮大なコントのために、コツコツとやらなくてはならないのです。そして、天気予報を待ち望んでいる人たちの力になれるように。また心を奮い立たせます。自分は、あきらめの悪い人間です。