逃避、葛藤、そして再開 気象予報士試験(5)
1回目の気象予報士試験が終わってからというもの、勉強ノートはずっと閉じたままでした。それはそれは重い扉のような、開けたらギシギシ音を立ててなかなか元に戻せないような、そんなイメージを勉強ノートに抱いてしまったのです。
普通の仕事もあるので、いったん勉強から離れたかったのが本音でした。後回しになって溜まっていた宿題的な仕事をこなしているうちに勉強に時間を割くのが億劫になっていました。
半年後の試験は見送ろう。そう妥協した瞬間、背中が少し軽くなりました。これでいいのかな、という気持ちがないわけではありません。
(せっかく半年間勉強したのに。)
(知識がゆっくり抜けていく。)
(お天気お兄さんの夢が遠のいていく。)
(もったいねぇ。)
毎日心のどこかにそんな思いがありました。
(やっぱりやろうかな。ゆっくりでいいからやろうかな。)
一度覚えた知識は呼び起こされやすいはずですし、まわりの気象予報士試験に受かった人だって何回もチャレンジして合格を勝ち取っているのです。
(ゆっくりじっくりやろう。)
(半年で受かってやるとかじゃなくて階段を一歩一歩上がろう。)
世界遺産検定1級に合格したときだって、お笑いだって、粘り強く一歩一歩やってきたのです。ギギギィィィと重い扉を開きました。必死に解き続けた過去問の文字跡がまぶたを殴ってきました。