さて、そこで次に気になるのは、なぜ日本人はこんなにもルールでがんじがらめになってしまうのかということだろう。

 ネットやSNSでの議論を見ていると、「ムラ社会」とか「家父長制」とか「島国根性」というワードが飛び交うことが多い。確かに、日本人の「横並び」を尊ぶカルチャーや、出る杭を寄ってたかってへし折る陰湿さには、そのような要素も影響しているような気がする。

 ただ、「村」も「家」も「島」も日本特有のものではない。海外でも多かれ少なかれムラ社会や家父長制は存在するし、島国根性もある。日本人だけがここまでルールに固執する根拠としてはやや弱い。

ルールへのこだわりを生む
人格形成まで踏み込んだ学校教育

 日本人がここまで突出して「ルールを守る」ということにこだわるようになってしまったのは、やはり日本人に特有の要因があったと考えるべきだ。

 実は、その条件にピッタリと合うものがある。「学校教育」である。

 ご存じの方も多いだろうが、日本の学校教育は世界的に見てもかなりユニークだ。いろいろな特異性があるが、最も顕著なのが「ルールを守るのが人として正しい道」という人格形成に過度に注力している点だ。

 世界では、基本的に学校は学びの場なので、教師も勉強を教えるだけで、子どもの「人格形成」などは親や周囲の大人たちの役目、という考え方の国も少なくない。
 
 だから、日本ほど生活態度や服装にうるさくない。教室の掃除もしないし、髪型のチェックや、靴下や下着の色を教師が確認するような風習は珍しい。