財産分与は生前に行うのが親の責務
「遺言で相続」は遺産トラブルの元凶
終末療養期間の長期化が進む現代では、従来の遺言相続は機能しづらくなってきています。医療や介護をはじめとするエンディングまでのサポートを頼む子どもには、それに見合う予算と感謝の気持ちを込めた報酬を事前に手渡しておくべきです。あれやこれやと子どもに頼み事をしていながらお金の話はスルーしておいて、結局は相続時にもそれが反映されないケースがいかに多いことか……!特に、介護者が相続権のない嫁の場合は悲惨です。そのような親は、おそらく天国には行けないと思います。
また、遺言には、財産分与の全貌が全相続人に知られてしまうというデメリットがあります。均等に分配すれば、親の老後を支えた子どもは面白くありません。差をつければ、もらえる金額が少ない子どもは不公平だと言い出します。結局、全員が心から納得に至ることはまずありません。法廷には持ち込まれなくとも、親の死後、感情レベルでの争族に陥る兄弟姉妹は、想像以上に多いものです。
2人以上の子どもたちを世に送り出した親の責任として、親としての威厳と判断力が健在なうちに、老後を託すわが子にはきちんと自身の言葉で依頼し、同時にそのための予算と報酬を前もって渡すべきです。その上で、相続(親が他界した)時点では、遺産が均等に分割されるように段取りしておくなどして、子どもたちが「争族」化することを回避しなければなりません。間違いなく、それは親の責務だと考えます。