兄弟姉妹の存在自体が「争族」の原因
仁義なき“老親囲い込み合戦”
従来型の「争族」は、相続権を持つ子どもが複数いるために起きていました。一人っ子の場合は、よほど強欲な親戚でもいない限り、遺産争いとは無縁でした。しかし現代型の「争族」は、老親と一人息子/娘の間でも起きる可能性があります。親がお金に執着していたり、子どもを信頼していなかったりする場合、一方で子ども側に老親を支援する経済力がないような状況では、財産管理という名目で親のお金を不正に引き出す「身内泥棒」のリスクが高まります。
しかし、圧倒的に多いのは“兄弟姉妹間の老親囲い込み合戦”です。介護を名目に親を預かり、説得したりだましたりして貴重品を預かり、親名義の預金口座から勝手に引き出します。さらには、生命保険を解約させて返戻金を取得したり、自分に有利な信託契約や遺言を用意して署名捺印させたり、親の手を握って代筆したりします。疑いを持った兄弟姉妹も同様の行動を取って対抗します。
「そんなまさか」と思うでしょう。しかし家族介護の長期化で心がすさんだり、自身の家計が逼迫していたりすると、親名義の財産に目が向きがちです。普通であれば信じ難いような事態が、あっけなく起こり得るということが、もろもろの相談を受けているとよく分かってきます。