「選挙ポスター廃止でいい」は思うツボ?
モラルハザードにチャレンジする人々

 今回、候補者らが警告を受けてポスターを剥がしたのは、世論からの批判が強かったことも理由の一つかもしれない。

 インターネット上では以前から政治的妥当性(ポリティカル・コレクトネス)への冷笑ムードが強く、今回もいわゆる「泡沫候補」の名前がトレンドにたびたび上がるなど、主要候補ばかり取り上げるマスコミへの反感も強い。

 そのようなノリがある中で、このようなモラルハザード的行為も、一種の挑戦として許されるという目論見が候補者らにはあったのかもしれない。しかしネット上でも、これらの行為への賛同はあまり集まらなかった。

 候補者の顔とスローガンが並ぶ決まりきった選挙ポスターだけでなく、意表をつくようなデザインを見たいと思う人もいるだろう。しかし、今回のようなポスターの使い方がされてしまうのであれば、規制は待ったなしだろう。すでに複数の識者が、今後はなんらかのルール作りが行われるだろうと予想している。

 「使用する人物の顔写真は候補者のものに限る」「どの候補者のポスターなのかわかるようにすること」「AIは不可」などの最低限のルールが定められるのかもしれないが、ルールを作ればまた、それを逆手に取るようなポスターも作成されるのかもしれない。

 インターネットの時代となり、選挙掲示板は不要なのではないかという声もネット上では見られる。立花党首は記者会見で、今回の目的が多額の税金を使うことになる選挙版への批判であるという趣旨の発言もしており、「『町のあちこちに(選挙ポスターを)掲示するのは違うでしょう』ということを訴えるポスター」の掲示も検討しているという。