ある女性は、良き妻、良き嫁であろうとするあまり、何十年も自分を抑えてきたそうです。体調不良が続いていた彼女は、自分の気持ちをユーモアを交えて短歌で表現することを始めました。すると、悩んでいた体調の悪さが改善されたのです。これは、自己表現とともに、自分自身のことや置かれた状況を客観視することで物事の捉え方を変えていく効果があったのだと思います。

 サポートしてくれる存在も非常に重要です。何でも話し合える人や自分の悩みに共感してくれる人がいることは、ストレス対処の大きな鍵となります。思い当たる人がいない場合は、そのような存在を求める、探すという姿勢も必要でしょう。

 最後に、「物事の捉え方の転換」です。嫌な出来事や困難なことに直面した際、それらを「自分を成長させるチャンス」などとポジティブに捉えることで、ストレスに対処することができます。

 それが難しく、どんどんネガティブな方向に思考が向かう場合は、先に紹介したように起こった出来事と自分の感情を紙に書き出して見直し、歯止めをかけることが大切です。最初はうまくいかなくても、トレーニングを繰り返すうちに少しずつポジティブな思考ができるようになっていきます。

 以上を参考に、これからの人生のために自分にあったストレス対処法を見つけていただきたいと思います。

生き方を見直すサイン
うつ状態とうつ病の違いとは

 気分が落ち込んだとき、「自分はうつ病になったのではないか」と思い込むことで、いっそう気が滅入ってしまう場合があります。しかし、うつ状態とうつ病はちがいます。気持ちが暗く落ち込んでいても、人に話を聞いてもらうと少し気分が楽になるとか、美味しいものを食べると少し元気が出るなどの状態であれば、うつ状態です。

 うつ病の場合は、一日中ずっと落ち込んだまま、気分が全く動かない。仕事や家事をしたくても、体が動かない。