さらに「自分が全部悪い」と自責の念や自分を罰しようとする感情が強い。加えて睡眠障害や食欲低下など、体の症状を併発することがほとんどです。そのように気分が低下したままの状態が2週間ほど続いたら、うつ病の可能性が高いのです。

 うつ病の治療法としては、抗うつ薬の投与のほかに、認知行動療法があります。その人の考え方や物事の捉え方に焦点を当て、カウンセリングと「書く作業」によって、自分の考え方のパターンや思い込みを点検し、客観的な考え方へと修正していく治療法です。

 また、新しい治療として、アメリカでは、経頭蓋磁気刺激療法が注目されています。うつ病によって働きが鈍くなったり、変調をきたした脳の部分に、磁気刺激を与える方法です。

 ただ、うつというのは、その人の物事の捉え方や環境などが大きく関係していますから、私はうつ病になる前のライフスタイルを見直す必要があるのではないかと思っています。

 講演会でうつ病を患っている方から、「以前のように仕事をバリバリやれるようになるにはどうしたらいいでしょうか」という質問を受けたことがあります。

 私は、うつというのは「前とちがう生き方をしなさい」というサインではないかと思っています。自分の生き方は、心や体に映し出されます。どこか調子が悪いとか痛いとか、憂鬱だというのは、「そういう生き方は嫌だ!」と自分が言っているわけです。ですから、これからの人生をより心地よく生きていくために、その症状は起こっているのだと考えてほしいのです。

 以前、軽度のうつ病の方から、「会社がつまらない」と相談を受けました。世間体のいい有名企業だからという理由で就職したものの自分には興味や関心の湧かない分野だったのです。私は、「大変でも努力するのが嫌ではないことを見つけていきましょう」と話しました。