地震が発生してから
「ヨーイドン」で進歩なし
このように、日本の復興が遅い根本的な原因は、過去の震災の教訓を活かさず、「地震が発生してからヨーイドンで慌ててやる」ということにある。身も蓋もないことを言えば、地震大国のわりには「準備不足」なのだ。
これは同じく地震大国として知られる台湾と比べれば、その差は一目瞭然だ。
ご存じのように、能登半島地震からしばらくたった4月、台湾の花蓮市でも地震が発生して、迅速な災害対応が注目を集め、何かにつけて能登地震と比較された。
たとえば、能登ではなかなか避難所が開設されず、開設されても「体育館で雑魚寝」という状態が続いたが、花蓮市では地震発生からわずか3時間で避難所が開設され、そこにはプライバシーを守るためのテントだけではなく、温度調節もできるシャワー用テントや、避難者たちの疲れや緊張をほぐすマッサージや、子どもたちにはビデオゲームも用意された。
また復興のスピードも対照的だ。能登ではいまだに倒壊した建物や瓦礫の撤去が進んでいない。6月28日、石川県輪島市の坂口茂市長は、地震で倒壊した7階建てのビルについて周辺の道路にはみ出ていることから、市として解体・撤去に向け検討していると述べた、倒壊原因を調査しているにしても、半年でようやく「検討」はのんびりすぎる。
一方、台湾はどうかというと、2つのビルが倒壊した花蓮市では、急ピッチでビルの解体が進められ、地震発生翌日にはほぼ終了した。交通の復旧も早く、落石で運行停止となっていた台湾鉄道も、一夜明けた頃には線路が修復され、始発から全線で運行が再開した。
では、なぜ台湾の対応はこんなに早いのか。背景を取材したフジテレビの《台湾・地震発生3時間で避難所開設 “迅速”カギは「官民連携」 専門家「日本は自治体職員の負担が大きい」》というニュースによれば、東日本大震災や熊本地震の被災地支援を教訓に、行政部門と民間団体が連携して準備をしていたからだという。
https://www.fnn.jp/articles/-/682444?display=full
なぜ我々は、台湾のようなことができないのか。過去の被災地支援を教訓に、官民が連携して危機に備えるということができないのか。
政治が悪い、縦割り行政が悪いなど、いろいろな意見があるだろうが、根本的なところでは、日本人の口癖ともいうべき「しょうがない」に象徴される「無常感」に問題があると筆者は考えている。