「何を議論してるんだっけ?」「前回の結論はなんだっけ?」という会議に出席したことがある人は多いだろう。そうしたムダな会議を減らし、実りある会議にするためには、ある共通認識が必要だという。元リクルート社員が解説する。※本稿は、菊池明光『とにかく可視化 仕事と会社を変えるノウハウ』(新潮新書、新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
ビジネスにおける
2つの「決める」とは
リクルートではもちろん会議で相談やディスカッションもしますが、それはあくまでも決めることの手前にあるやり取りである、ということです。では、「決める」とはどういうことなのでしょうか?
辞書的な表現では、不確実であり未定であった物事をはっきりさせる、約束する、そう思い込んで疑わない、というニュアンスで語られることが多いですね。一方、ビジネスにおいて「決める」とは、
1:リターンとリスクを見極めること。
2:決めたら強烈にやること=多くの人が動くこと。
になるかと思います。決めたら安易には変えない、安易に変えてしまうということは決定時の議論・検討が不足している、という理解でよいでしょう。とにかく影響の範囲を見据え、熟慮を重ねた上でないと決められない、それほど重いものなのです。
重いものであることに加えてスピードも求められます。そして決めるからこそ行動が必須となり、その行動が成功と失敗を生み出し、要因分析→次回の打ち手策定へと駒を進めることができるようになります。
「うちの会社はやりきらない・やりきれない」とのお悩みをよく伺いますが、これも「やると決めていない」のだろうなと思います。決められないからやりきれない、という理屈です。
リスクが見えない時は決めることができず、迷い続けることがほとんどではないでしょうか。決断から逃げ続けている、とも言えましょう。迷っていると動きが鈍くなる。行動への足かせとなってしまう。一方でリスクを取りに行かなければ大きなリターンは得られないというのも周知の事実かと思います。
リスクをできるだけ可視化し、それへの対策を事前に検討しておくと「決める」が近づいて来ます。リクルート時代、多くの上司に何らかのプランを出すと「これが何かの理由で上手くいかないとしたら、どこがボトルネックになるんだ?」とリスク部分について質問してくれました。これも「決め」ようとしていてくれたからの議論だったのだと思います。