ビジネスで言えば「昨年より“大幅に”売上が上がった、素晴らしい!」というような会話をする時に、大幅とは何かを定義していないとそれが素晴らしいと言えるのかどうかわからない、といった具合です。

 大幅について相手は昨対10%アップを意図しているのに、こちらは昨対20%アップだと思っていた場合、こちらから見れば全然大幅ではない、素晴らしくないという判断をしてしまうことになりかねない。

 次に言葉の定義がズレていることのリスクについて説明します。

 “大幅に”が売上昨対20%アップなのか、10%アップなのかを定義せずに話を進めるとどうなるでしょうか?相手は売上増加が順調だと思っているため、昨年と同様に今期も取り組めばよいなどと高をくくっているかもしれません。

 それに対してこちらは昨対20%になっていなければ厳しい状況だと見ているため、何が問題だったのか?その発生要因は何か?絶対に20%アップする打ち手は何か?などありとあらゆることを今期に対して考えることでしょう。

 定義がズレているため、物事の判断レベルや精度も異なれば論点も大きく違うことになります。この状態で会議を進めても噛み合わないままで議論の生産性は落ち、双方が納得できない着地になる可能性が高まります。せっかく会議をやってもこれでは大きなダメージを被るだけです。

 言葉の定義を「揃える・すり合わせる」ことは、議論をスムーズに進行するための非常に重要なステップになります。

 では、どうやって「揃える・すり合わせる」のか?眼前可視化(編集部注:リアルタイムで議論内容メモを書き、それを相手に見せながら行う方法)ノウハウの詳細解説の前に、こちらをご説明しましょう。眼前可視化をしていると、同じ意味のことを複数の言葉で表現している場合があることがよくわかります。

 例えば、

・ソリューション
・商品
・製品
・サービス
・解決策
・打ち手

 これらの言葉を、完全に同じではないにしても同じような意味を持つものとして使った経験はありませんか?言葉を重複させることなく言い換えて使うことはコミュニケーションを豊かにする要素ですが、会議の場では混乱をきたす可能性を否定できません。