「ペットの気持ちを知りたい」
願いを実現するデバイスが開発 

 一方で、ペットの気持ちや想いを知るために行った方がいいと思うことを、オーナー自身がどの程度実践できているか尋ねたところ、「表情や行動(鳴き声・ボディランゲージなど)をよく観察し、メッセージを読み取る」、「動物の行動や習性が示す意味を理解する」については、4割以上のオーナーが「実践できているとは言い切れない」と回答していて、いかに行動に移すことが難しいかが浮き彫りになりました。

 そんな飼い主たちの想いを実現するために、さまざまなIT機器の開発が世界中で進んでいます。

 日本のスタートアップであるラングレスが開発した「イヌパシー」は、犬の心拍の情報からペットの感情を5つのパターンで教えてくれる、世界初のハーネス型デバイスです。装着すると、背中部分の色と光り方で犬の発する「リラックス」「ドキドキ」「ハッピー」「興味」「ストレス」 の5パターンのメッセージが見てとれます。

 ラングレスは、噛むおやつのブランド「DINGO」を販売するペットフードメーカーのスペクトラム ブランズ ジャパンと共同で、今年5月に飼い主と愛犬のペアを対象に実施した、「噛む行動に関する調査結果」を発表しました。具体的には、牛皮ガムを愛犬とその飼い主に提供して、その際の心拍反応を「イヌパシー」で読み取ることで、ストレス度や幸福度を測定するというものです。

 調査結果によると、一般的にしつけの対象とされがちな噛む行為は、実際にはイヌの本能的な欲求を満たすものであり、適切な噛むおやつを提供することで幸福度が大幅に向上することが分かりました。

 また、噛むおやつに対する集中度は非常に高く、これが犬の精神的な充足感に寄与していることが明らかになりました。ストレスを回避するには、ストレスの対象となるものに意識を向けず、何かに集中していることも大切です。

 さらに、信頼する飼い主さんと慣れ親しんだ「おもちゃ」で遊んでいる状態でのストレスの値が低いという結果もあり、飼い主との遊びが愛犬のストレス軽減に効果的であることが示されました。

 ペットの心を理解することが当たり前になれば、ペットとの共生がより豊かで意味のあるものになる新しい「ウェルビーイングな世界」を創り出します。動物と人間が共にストレスなく暮らす幸せな社会を実現するためには、「アニマルウェルフェア」という考えが日本でも広がることが欠かせないと、私は考えています。

(インテグレート代表取締役CEO 藤田康人)