小型犬3匹をビニール袋で窒息死
81歳の元ブリーダーの身勝手な言い分

 繁殖の期間を終えた犬にも、エサ代や光熱費がかかります。これまでは役目を終えた繁殖犬の面倒を最後まで見てきたブリーダーでも、飼育できる頭数に制限ができたことによって経営が悪化し、手放さざるを得なくなるというケースが増えています。

 手放された繁殖引退犬の受け皿は、動物愛護団体やシェルター頼みなのが現状です。

 この法律が施行された21年には13万頭以上の繁殖引退の犬や猫が出ると試算されていたのですから、この猶予期間にペット業界も行政もそれに対するセーフティーネットとなる対策を十分に検討する必要があったのではないでしょうか。

 実際にブリーダーから手放され、行き場を失った繁殖引退犬が、山に捨てられたとみられるケースが全国各地で報告されています。

 もっと痛ましい事例としては、今年6月に埼玉県でポメラニアンやトイプードルなど小型犬3匹を生きたままビニール袋に入れて窒息させ、殺したとして、埼玉県の81歳の元ブリーダーの男が逮捕されたという事件も報道されています。理由は「(犬たちが)生きていると経費がかかる。責任を取るつもりだった」という、なんとも身勝手な言い分です。

 今回の一連の法改正に関わる全ての当事者に求められるのが、「アニマルウェルフェア(動物福祉)」という考え方です。動物が肉体的・精神的に十分に健康で環境に調和していること、というペットのウェルビーイングを重視するこの考え方は、海外ではすでに当たり前のこととなっています。

 例えば、ドイツでは飼育環境に厳しい基準を設けることで、ペットショップでの犬の販売が抑制されています。また、フランスでは24年から、保護されたものを除く犬・猫 のペットショップでの販売が禁止されました。

 前述した繁殖引退犬についても、その後の幸せな生活まで考えていかなければなりません。譲渡会などで新しい飼い主が見つかったとしても、重要なのはその後の飼い主との長きにわたる共同生活です。