学業は優秀でも運動は苦手

成績は「甲」「乙」「丙」の3段階の時代です。いちばんできるのが甲、普通が乙、もっと頑張れというのが丙ですね。私はほとんど甲で、2つだけ乙がありました。それは「体操」と「唱歌」です。

体操というのは、今でいう体育。かけっこ(徒競走)をすることが多かったのですが、私は足が速いほうではなかったんです。遅くもないけれど、速くもない。運動会は、嫌いでした。

音楽も今のように1人に1つ楽器が与えられるという時代ではなかったので、授業ではほとんど「唱歌」を歌っていました。歌も下手ではないけど、うまいというわけでもなかったのでしょう。だから乙。ちょっと悔しかったです。

人と比べず自分に挑む

綴り方(作文)やお裁さい縫ほうの「運針」などは得意中の得意で、提出するのはクラスの中で私がいちばん先でしたし、「上手にできている」と褒められてもいました。

あまり意識はしていませんでしたが、なんとなく「自分はいろんなことでいちばんが取れて当たり前」と思っていたのかもしれません。おそらく、負けず嫌いなのでしょう。

ただ、誰かと自分を比べて「◯◯さんに負けたくない」というのではなく、「自分ができないのが悔しい」とあくまで自分をライバルにしていたように思います。

「自分比」で考えればストレスが減る

この「ライバル視するのは自分だけ」というのは、終生変わらない私の根幹にある考え方です。職場のように容易に人の仕事の成果がわかる場所にいると、つい人と自分を比べがちですよね。それでストレスをため込んだりして……。

でももしかしたら、それ以前にものごとを「自分比」で考えてみることで、「他人との比べっこ」をやめることができるかもしれません。尺度はあくまでも「自分」にするのです。

昨日の自分よりも今日の自分は成長しているか、成長できていないと感じるのならば、それはなぜなのか? そんなふうに考えるようにすると、他人に向けがちだった目が自分に向き、むやみに人のことが気になることもなくなっていくように思います。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。