創業家の山中家から経営が変わった2006年、能登杜氏の吹上弘芳さんが急逝し、地元出身の副杜氏小野浩二さんが杜氏に昇格。その後、徐々に頭角を現し、英国で開催されるコンテストIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の日本酒部門で上位入賞を繰り返す。また、開かれた酒蔵を目指し、蔵見学の受け付けを開始。創業当時の趣ある土蔵、大福帳を再利用した貯蔵タンクのふたの封印紙、富士山下山仏が祭られるなど、酒造の歴史が随所に残る。下山仏は、明治期の廃仏毀釈で、富士山頂の薬師堂の仏像が破却される前に、2代目がひそかに引き取り蔵に安置したものだ。富士山に導かれるように始まった酒造りは、もうすぐ200年を迎える。

新日本酒紀行「高砂」高砂 山廃純米辛口
●富士高砂酒造・静岡県富士宮市宝町9-25●代表銘柄:高砂 山廃純米吟醸、高砂 純米吟醸 令和誉富士、中屋 山廃本醸造●杜氏:小野浩二●主要な米の品種:山田錦、五百万石、美山錦、令和誉富士、愛山
新日本酒紀行「高砂」土蔵の蔵 Photo by Yohko Yamamoto
新日本酒紀行「高砂」土蔵の蔵 Photo by Yohko Yamamoto