両社の独自性と効率化のバランスを
見ながら共通化対象部品を拡大

 今回の発表を受け、国鉄時代に全国に導入された「103系」や「205系」のように車両自体を共通化する方向に進むのでは、という反応も見られる。しかし、ホームドアの整備が進む現代では、車両と設備の整合が必要であり、都市部の車両をJR東日本は4ドア、JR西日本は3ドアに統一しているため、完全な共通化は不可能だ。そこでまずは装置・部品の共通化から検討に着手する。

 電車には電機部品(パンタグラフ、制御装置、モーター、補助電源装置、バッテリーなど)、空気圧システム(コンプレッサー、ブレーキ装置、戸閉め装置)、空調、案内装置などさまざまな装置・部品が設置されている。これらは車両メーカーが製造する部品もあれば、東芝や東洋電機製造、三菱電機のように、主要電気装置や車両機器を手掛ける電機メーカーもある。

 大掛かりなシステムは各社がサプライヤーとともに一貫して設計・製造している。安定調達や競争原理を考慮すれば、無理な統一はかえって非効率、コスト増にもなりかねない。ただ部品によっては事業者ごとのニーズに応じて、似たようなものを多品種少量生産している。

 これらはサプライヤーにとって儲かる仕事ではなく、今後は発注数の減少が予想されるため、業界全体の効率化を図り、限られた人員や設備を各社の得意な領域に集中したい。そこでモーター、台車のオイルダンパー、パンタグラフ、行先表示器など、可能な範囲で装置・部品の共通化に着手し、各社の独自性と効率化のバランスを見ながら共通化対象部品を拡大するというのが今回の発表だ。