今回の共通化検討が
形になるのは5~10年後か

 具体的には、まずJR東日本とJR西日本が共通化の方向性など土台作りを進め、続いて他の鉄道事業者や車両メーカー、サプライヤーと意見交換をして具体的な内容を詰める。そして共通化部品調達の仕組みを構築した上で、実際の車両に展開する。

 現行車両の部品の交換は現実的ではないため、共通化を取り入れた設計は今後の新型車両から導入する。つまり、今回の検討が形になるのは5年後、10年後レベルの話になる。QRコード乗車券を8事業者共同で進めるように、今後の検討で、大手私鉄が参加してさらに大きな取り組みになる可能性もある。

 車両設計を完全に共通化するのは困難だが、プレスリリースには「各鉄道事業者の独自の使用となるものは今後検討」として、ドア位置や枚数、車体幅、長さ、前面形状などが挙げられている。「sustina」は車両ごとに車体構造のカスタマイズが可能であり、前述のように、すでに導入した私鉄もある。

 近年JR西日本が導入した「225系」「227系」「321系」「323系」は、川崎車両と近畿車輛が担当している。JR東日本は装置・部品以上の検討は全く白紙というが、将来的にJR西日本が「sustina」を採用することもあり得るかもしれない(逆にJR東日本が車両調達先をグループ以外に変更するとは考えにくい)。

 いずれにせよ、人口減少が進めば鉄道事業は縮小していく。事業が縮小すれば鉄道車両も削減され、新造車両も減少する。海外進出を進める車両メーカーもあるが、サプライヤーの多くは国内需要が中心だ。事業者のみ、メーカーのみの課題ではなく、将来にわたって鉄道システムを機能させるための検討が、今後ますます本格化しそうだ。