先行き不透明な韓国のウォンにまで…
新興国の通貨に対しても円安が進行

 7月5日までの1カ月間、為替レートの変化率を見ると、円の弱さが際立っている。ドル・円の為替レートは、156円70銭台から160円70銭台まで下落した。6月20日以降は下落ペースに拍車がかかった。

 米国は為替報告書で、日本を監視の対象に再度指定した。これにより為替介入は行いづらくなるとの見方が増え、円売りを一段と加速する一因になった。7月3日、一時162円目前まで円安は進んだ。6月の米雇用統計で労働市場の過熱感が緩み、米FRBの利下げ期待が高まったものの、円の反発は限定的だった。

 円は対ユーロでも下落した。同じ期間、1ユーロ=169円台から174円台までユーロ高・円安が進行し、2001年のユーロ導入以来の最安値を更新した。3月、6月と2会合続けて利下げを実施したスイスの通貨フランに対しても円は売られた。カナダ・ドル、オーストラリア・ドル、英ポンド、ニュージーランド・ドルなどに対しても円安傾向だ。

 新興国の通貨に対しても、円安は進行した。中国の人民元、為替介入を実施しているインドネシア・ルピアに対しても円は売られた。景気の先行きに不透明感がある韓国のウォンに対しても円は軟調だった。

 タイ・バーツ、マレーシア・リンギット、フィリピン・ペソなど、ASEAN地域の新興国通貨と比較しても円は弱い。南米のチリ・ペソに対しても円は弱含みで推移した。近年、物価上昇の中で中央銀行が利下げを行ったトルコ・リラに対しても、ここ1カ月、円は売られた。世界の主要通貨に対し、円安は鮮明だ。