「クマに遭遇したら?」「海で流されたら?」「目の前で人が倒れたら?」など、さまざまな命の危険から身を守る方法を紹介する書籍『いのちをまもる図鑑』(池上彰監修、滝乃みわこ文)が発売された。ある日突然訪れる「命の危険」。それに対処するには、何より「事前の知識」が重要だ。正しい知識さえ持っていれば、非常事態でもパニックにならず、最善の行動をとることができる。子どもから大人まで、すぐに役立つサバイバル実用書だ。
今回の記事では、本書で紹介されている76の「命の危険」のなかから、「大雨」の危険についての項目をご紹介(国崎信江部分監修)。知っているようで意外と知らない、防災知識をチェックしてみてはいかがだろうか?(構成/ダイヤモンド社・金井弓子)
「大雨」はどこからが危険?
平年よりも遅い梅雨入りとなった今年、例年ならばそろそろ梅雨明けの時期ですが、今年はまだ沖縄と奄美地方以外梅雨明けしていません。
ここからしばらく、日本列島では不安定な天気が続く見込みです。いまの時期、注意したいのが「線状降水帯」の発生などによる急な大雨。短時間の間に大雨が降ることで、災害が発生することが多くなります。
【クイズ!】大雨から避難するべきタイミングは、次のうちどれ?
大雨がふり止やまず、家の前の道路が水びたし。家を出て避難所行いったほうがいいレベルの雨あめのふり方は次のうちどれ?
① ゴーゴーと滝のような雨で、もう道路が見えないタイミング
② バケツをひっくり返したような雨で、道路が川のようになったタイミング
③ カサをさしてもぬれるどしゃぶりで、道路に水たまりが広がったタイミング
この先の正解を見る前に、答えを頭に思い浮かべてみてください。
さて、気になる正解は……?
正解は③!
大雨から避難するタイミングは「カサをさしてもぬれるどしゃぶりで、道路に水たまりが広がる」とき
安全に避難できる最後のタイミングが、ここです。自宅より高い場所にある避難所へにげましょう。
じつは①と②のタイミングだともう避難には間に合いません! 雨で目の前が見えない状態での避難は転ぶ危険大。
また、足元を流れる水の力は、想像以上に強力です。勢いよく流れる水が足首までの深さになっていたら、踏ん張れずたおれて流されてしまいます。①、②の場合は一軒家なら最上階に、マンションなら3階以上ににげる「垂直避難」をしましょう。
避難レベル1~5のちがい
警戒レベル5
緊急安全確保
やばい手遅れ…。せめていのちを守る行動をとって!
警戒レベル4
避難指示
危険な場所からすぐに全員が避する
警戒レベル3
高齢者等避難
お年寄り、乳幼児、体の不自由な人等と支援者は避難する
警戒レベル2
大雨・洪水・高潮注意報
ハザードマップで避難所を確認して準備する
警戒レベル1
早期注意情報
災害が起こるおそれがあるので天気予報を確認する
*内閣府防災情報を参考に作成
なぜ、非難が遅れるのか?
危険なのに「大丈夫だろう」と思い込んでしまう心理を「正常性バイアス」といいます。
雨や風や雪はふだんからあるので、どこからが災害か判断がつかず「大丈夫」と思い込む人が多いのです。
災害時はこの「正常性バイアス」に惑わされず、的確な判断をしましょう。
山での遭難や川や海での水難事故などが増加するこれからの季節、「命を守る知識」は子どもから大人までの必須教養です。
この機会に、ご自身や家族の知識をアップデートしてみてはいかがでしょうか?
(本稿は、『いのちをまもる図鑑』から一部抜粋・編集した内容です。)