10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数専門塾のカリスマ塾長が語る】「算数」が得意になる、幼少期にやらせたい習い事ベスト1Photo: Adobe Stock

「数の概念」をイメージできるようになる習い事とは?

りんご塾に来て「算数力」がすぐに伸びる子となかなか伸びない子の違いのひとつに、数の概念をイメージできるかどうか、があります。

「数をイメージする」というのは、例えば「10-3」という問題があったとき、1が10個並んでいて、そこから3個減ることを頭の中で思い描けるかということです。問題用紙に書かれている数というのは抽象的です。それを頭の中でイメージしなくてはいけません。これができる子はどんどん先に進んでいけます。

大人であれば、100円玉が5枚あれば500円という具合に、実生活で数を扱っているので簡単にイメージできますが、生まれて数年の子どもたちにとっては難しい場合もあります。

そろばんは視覚的に数をとらえられる

そんな子には、そろばんがおすすめ。そろばんは、同じ珠がいくつも並んでいるので、視覚的に数をとらえることができます。そして、計算するときは盤を脳内に思い浮かべて、そのイメージの中で珠を動かし、答えを出していきます。

そろばんというと、どこかテクニカルで、頭はあまり関係ないと思っている人もいるのですが、そろばんの肝は、指ではなく頭にあるのです。
大体、3級ぐらいまでいくと大人になっても忘れません(3級になるとかける数×かけられる数で7桁くらいの問題が解けます)。

ただし、たまにあっという間に級が上がる子がいるのですが、そういう子はちょっと注意が必要。定着するまで続けないと数ヶ月後にはすっかり忘れてしまうことがあるからです。目安は3年。3年続けて3級までいけば、一生モノの力として使えます。

ちなみに、プリント式の計算教室も算数に強くなる印象がありますが、数をイメージしているというよりは、パターン暗記の面が強いように感じます。例えば繰り上がりの問題を解くにしても、イメージするのではなく、答えを瞬発力で書いている子が多い。そういう意図がなくても、何度も同じような問題を解いてスピードを求められたら、結果としてはそうなります。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。