地球から見ると、兄のロケットは、超高速で地球から遠ざかり、星に向かい、兄が仕事を終えた後、また超高速で地球に近づくことになります。

 アインシュタインが発見した相対性理論によれば、「光速で運動するものは時間の進み方が遅くなる」とされています。つまり、兄は弟よりもゆっくりと年を取ることになります。地球で再会したときには、弟は兄よりも多く年を取っているはずです。

 では、次に兄の立場に立って、この状況を考えてみましょう。ロケットに乗っている兄から見れば、光速で遠ざかっているのは、弟のいる地球になります。

 つまり、弟の時間の進み方が遅くなるために、弟がゆっくりと年を取ることになり、再会するときには、兄のほうが多く歳を取っていることになります。

 では、ここで問題です。兄と弟、再会したときに歳を取っているのは、どちらでしょうか?

【解説】

 強い重力に近づくと、時間はゆっくりと進む特性があります。

 このことから、再会したときに年を取っているのは弟ということになります。その理由は重力にあります。アインシュタインが発見した一般相対性理論によると、大きな質量を持つ恒星の近くなどの重力の強い場所では、時間の進み方が遅くなります。特に光を呑み込んでしまうほど重力の強いブラックホールの近くでは、理論上、時間が止まってしまうということも考えられています。

 また、ロケットが加速して、宇宙を進んでいる場合、中の人には慣性力という力が働きます。この力は重力と同じ力だと考えられています。

 こうして、重力の強い星のそばを通ったり、ロケットで慣性力が高まったりすると重力が強く働くと考えられます。

 そのため、重力の弱いところにいる弟のほうが、ロケットで移動している兄よりも時間の流れが早くなるので、弟が早く年を取るというわけです。

毒ガス発生装置付きの箱に
猫を入れるという思考実験

【思考実験3「シュレーディンガーの猫」】

 放射性物質が崩壊して放射線が出ると、箱の中の装置が反応して、毒ガスが発生するという装置を備えた箱があります。

 この箱に生きている猫を閉じ込めて、1時間後に箱の小窓を開けて、猫が死んでいるかどうかを確かめます。