新聞の広告を使って
主張を展開したことも

 もちろん、我々の提案や要望がすべて聞き入れられることは簡単ではありません。先方には先方の事情や理屈があるから、そこで議論を重ねるわけです。言い換えるなら、これほど面談の回数が多いのは、先方になかなかご納得していただけず、同じことを何度も繰り返し提案しているためでもあります。また面談だけではなく、我々の真意を正確に伝えるため、手紙に書いて送ったりもします。

 あるいは先のJDLのように、取締役会議事録や会計帳簿の閲覧謄写請求をしたり、株主総会で株主提案をしたり、さらには株主代表訴訟などの会社法上の株主権の行使も厭いません。それから広く一般株主や投資家の方から理解や賛同をいただくため、投資先企業について我々が考える問題点などを開示するウェブサイトを開設したり。また、日本経済新聞の全面広告を使って具体的な主張を展開したファンドは、おそらく我々が初めてではないでしょうか。

「モノ言う株主」はカネの亡者なのか?アクティビストが日経新聞に全面広告を出したワケ『「モノ言う株主」の株式市場原論』(中公新書ラクレ) 丸木 強 著

 これらはいずれも、「我々は正しいことをしている」という自負の表れです。またしばしば誤解されがちだからこそ、株主として当然の主張についてできるかぎりオープンにして、広く一般に向けて堂々と是非を問うているのです。

 それによって我々に対する理解が進み、多少なりとも世論を味方につけることができれば、投資先の企業も考えを改めていただけるかもしれない。そんな望みを託していることは、言うまでもありません。