ですから、まだ先が長い中高年の場合は、医師から塩分や糖分の摂りすぎに注意したほうがいいと言われたら、多少は注意しておくのもいいでしょう。しかし、過剰に恐れることはありません。「コレステロール値が高いと心筋梗塞になる」とか「血圧が高いのを放っておいたら脳卒中になる」などと言う医師もいますが、ならない人もいるわけです。

 健康診断で血圧や血糖値に高い数値が出たら、もしかしたら20年以内に脳梗塞や心筋梗塞になるかもしれないという自覚を持ち、そうなる前に脳ドックや心臓ドックを受ければいいということです。

もっとも長寿なのは
「太り気味」の人

 このように、栄養不足はうつ病を発症しやすくするだけでなく、免疫力を低下させて老化を進めるため、50代以降に「食べない式」のダイエットをするのは、お勧めできません。

 今も健康診断でメタボ指導をしているところもあり、一般的にメタボになると心臓病や脳卒中になりやすく早死にしやすいなどと思われていますが、それは大きな間違いです。

 宮城県で体型別の平均余命を調べた大規模な調査によると、「やせ」「普通」「太り気味」「肥満」の4つの体型のうち、もっとも平均余命が短かったのは男女共に「やせ」型の人たちだったのです(調査期間/1995年1月1日~2006年12月31日)。

 一方、もっとも平均余命が長かったのが「太り気味」の人でした。

 次が「普通」で、その次が「肥満」です。そして「やせ」の人よりも「太り気味」の人のほうが、男性で約7年、女性で約6年、平均余命が長いのです。

「太り気味」というのはBMI値が25以上で30未満の人。一般的には「小太り」と言われる人です。

 一般的にBMIの適正値は22と言われますが、世界中の多くの研究からも「一番長生きするのはBMI25以上の人」ということがわかっています。

 もっとも寿命が短いやせ型の人は、小太りの人より6~7歳も早く亡くなる。かなり衝撃的な結果ですが「やせれば健康」という常識は間違っているということです。

長生きしたいなら食事制限は逆効果?医師・和田秀樹が「肉食・小太り」をすすめるワケ同書より転載