カラス写真はイメージです Photo:PIXTA

ゴミ袋にネットをかぶせたつもりでも、賢いカラスはいつの間にかゴミ集積所を荒らしている。重要なのは、ネットをかぶせることそのものではなく、「どうかぶせるか」だ。カラス研究20年、カラス対策のエキスパートである筆者が、カラス被害軽減の対策法と注意点を伝授する。※本稿は、塚原直樹『ヒトとカラスの知恵比べ 生理・生態から考えたカラス対策マニュアル』(化学同人)の一部を抜粋・編集したものです。

カラスに狙われたゴミ集積所は
ネットと重しで被害を防ごう

 ゴミ集積所でもっともポピュラーな対策は、ネットだろう。ネットはきちんと使用すれば、とても有効な手段である。しかし、図3-3のように、ネットからゴミがはみ出していたら意味がない。そもそもゴミの量が多い地区や、ゴミが大量に捨てられることが予想される年末の大掃除のあとなどは、1枚のネットではカバーしきれない。ゴミ集積所の広さや出されるゴミの量に応じて、ネットを複数使用し、ゴミ袋がはみ出ないようすべてをネットで覆うことが必須である。

図3-3:ネットからはみ出したゴミ同書より転載

 また、ネットもしばらく使っていると劣化し、破れてしまう(図3-4)。穴の空いたネットはまったく意味がなく、これでは、カラスからゴミを守ることができない。一刻も早く新品のネットに交換する必要があるが、破れたネットも活用の途はある。さきほどのように一時的に大量にゴミが出たときなどのサブとして、もしくは2枚を重ねて使用することをお勧めしたい。

図3-4:破れたネット同書より転載

 たとえネットでゴミ集積所全体をカバーできていたとしても、カラスに狙われてしまう。カラスは器用に嘴でネットを持ち上げるのだ。そこで、石などで重しをすることが重要だ。図3-5は、愛知県のとあるゴミ集積所で撮影した写真だが、コンクリートブロックに取手を付けた重しを自作されていて、とても感心した。単なる石やコンクリートブロックだと持ち運びしづらく、移動させるのが億劫になってしまうが、取手を付けることで持ち運びしやすくなるため、ゴミ集積所の利用者がネットに重しをすることのハードルも下がるはずだ。

 ちなみに、重しは水が入ったペットボトルでもよい。石やコンクリートブロックは、ネットに擦れ、劣化を早めてしまう可能性がある。その意味では、ペットボトルのほうがよいかもしない。

図3-5:ネットの重し同書より転載

食べ物が入っていないゴミ袋も
カラスに荒らされる場合がある

 また、栃木県某所のゴミ集積所では、落ち葉や剪定後の木の枝などを入れた、食べ物の入っていないゴミ袋を重しにしていた(図3-6)。ネットの外を食べ物が入っていないゴミ袋で囲うことで、ネットの重しとするだけでなく、食べ物まで到達させない、という役目も果たしている。また、ネットで覆うべきゴミ袋の量を減らし、確実にネットで覆うことにも貢献できている。ネットが擦れないという点においても有用だろう。

図3-6:食べ物が入っていないゴミ袋を重し代わりに同書より転載