しかし、カラスの中には、過去の記憶を頼りに、ゴミ袋には美味しいものが入っているはずと、中身を見ずに突くカラスもいるだろう。資源ゴミの日でも突かれてしまうのはこのためだ。残念ながら、このようなカラスに狙われた場合には、食べ物が入っていないゴミ袋が荒らされてしまうことがある。

 重しは非常に重要であるが、ゴミ集積所を利用するすべての人がゴミを出すたびに重しをしなければ、すぐにカラスに狙われてしまう。出勤前のゴミ出し担当のお父さんからすれば、いちいち重しをするのは億劫に違いない。

 そこで、図3-7のように、ネットの端に鎖をつけることをお勧めしたい。鎖を重しとするのだ。タイラップなどでネットと鎖を固定するとよいだろう。こうすれば、カラスはネットを持ち上げることはできない。億劫なお父さんもネットさえかぶせてくれれば、自動的に重しもセットされる。また、ブロックなどの重しだと、重しと重しの間を狙われることがあるが、端全体が重いネットであれば隙間も生じない。

図3-7:ネットの端に鎖同書より転載

 重しの話に加え効果的なのは、ネットとゴミ袋の間にスペースを設けることだ。スペースを設ければ、カラスはそもそもゴミ袋にアプローチできない。では、どのくらいスペースを空ければよいのだろうか?カラスの嘴の長さは、嘴の大きいハシブトガラスで7センチメートルくらいある。ネットは伸縮性があるため、網目に思い切り嘴を突っ込まれることを想定すると、15センチメートルくらいはスペースがあったほうがよいだろう。

 しかし、どうしてもゴミ袋とネットが密着してしまう。そこで、ネットを支える物を置いて、ネットとゴミ袋の間にスペースをつくることを提案したい。たとえば、図3-8のように、工事現場などで使われるカラーコーンとポールなどを用いるのはどうだろうか。四隅にそれぞれ1個ずつカラーコーンを置き、ポールで囲うなどして、その枠の中にゴミ袋を収めるように置けば、カラスも突けない。もちろん、ネットには石などで重しを置くことを忘れてはいけない。

図3-8:スペースを設ける同書より転載