そこまでやる!? サイゼの逆算思考

サイゼリヤさん、そこまでやるか!激安「ミラノ風ドリア」ソースへのこだわりがハンパなかったPhoto:Kenichi Ogura

 そして、日本の各地(福島・神奈川・埼玉など)とオーストラリアに食品の加工工場をつくり、各店舗で提供される完成品の一歩手前までを製造しているのだ。

 何が言いたいのかというと、サイゼリヤは店舗で提供されるところから逆算して、必要なことを農作業者(自社・他社問わず)に求めている。「つくったもの(一般的に流通するもの)をどう安く仕入れ、加工するか」ではなく、「提供するうえで必要な条件を、加工する工場、生産者に求める」ということだ。

 例えば、レタス。サイゼリヤには毎日大量のレタスが必要で、品質も一定したものでないとダメだ。しかし、個別取引に頼っていては、出荷量も品質もバラバラになってしまう。

 そこで農家を集めて、農家ごとにレタスの苗を植える時期と収穫する時期をズラすよう調整した。さらには、畑ごとの生育速度を一定にするために、苗の生産をサイゼリヤが一括して行い、必要な分をそれぞれ農家に渡していくという形をとった。そこまでして、品質と供給量を安定させているのである。

 農業は工業と違って、製品にばらつきが出たり、供給する時期が偏ったりしてしまうことが多い。そのために、いくらで売れるのかが最後までわからない。これはクラークソンの農業でも起きた、頭の痛い問題だった。

 オーストラリア工場で生産するミラノ風ドリアのホワイトソースでも、レストランで提供することを強く意識した生産方式が取られている。サイゼリヤの公式サイトには、こう書かれている。