投資のイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

新NISAがスタートして半年が経ちました。人気のオルカンもいいけれど、「リスクはあってももっと利益が期待できる投資にチャレンジしたい」と考えている方も多いのでは。前回紹介した「株式投資型クラウドファンディング」は、リスクが高い分、高いリターンが期待できる投資方法です。リターンに加えてもう一つ、個人投資家がスタートアップに投資する場合、税制の優遇措置が受けられる場合があるという大きなメリットがあります。

※本稿は、波多江直彦『日本一やさしい スタートアップ投資の教科書』(ビジネス教育出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

投資家が知っておくべき税制優遇

 スタートアップ投資には、投資金額に応じて税制の優遇措置が受けられる場合があるというメリットもあります。

 個人投資家に対して税制上の優遇を行う「エンジェル税制」という制度があり、株式投資型クラウドファンディングでエンジェル税制の対象案件へ投資をした場合、投資金額に応じて税制の優遇措置が受けられる場合があります。例えばイークラウドでは、取り扱った案件のうち約8割がエンジェル税制の対象となっています。

 かねてから日本ではスタートアップに流れる資金の少なさや、融資依存で調達手法が少ないといった問題がありました。こういった背景からスタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制優遇を行う制度として1997年に制定されました。

 エンジェル税制は20年以上も前に策定された制度にもかかわらず、認知度がまだまだ低い印象があります。企業側の手続き面の煩雑さや、対象となる企業の条件の厳しさなどもありますが、主な原因は一般の人が非上場企業に投資する機会がほぼなかったということかと思います。

 しかし株式投資型クラウドファンディングの登場によってエンジェル税制がスポットライトを浴び、更にエンジェル税制が株式投資型クラウドファンディングに対応し使いやすくなったことで、流れが変わってきました。

 2022年には岸田内閣のもとで、5年でスタートアップを10倍にしようという「スタートアップ育成5カ年計画」が策定されたことに伴い、制度的な後押しとしてエンジェル税制の活用促進が進められています。

エンジェル税制とは

 エンジェル税制では大きく2つのタイミングで優遇措置を受けることができます。1つ目は株式取得時点、2つ目は株式売却時点です(ただし、取得時に税優遇を受けた場合は、株式売却時に取得時の優遇分を取得費から差し引いて計算します)。