「お客様。責任とはどのような責任でしょうか?間違った内容をお伝えした点は心よりお詫びいたします。お詫びでご納得できないとおっしゃるなら、どのように責任をとればいいでしょうか?もし金銭的なことならばお断りいたします。そもそもこうやって毎日のように長電話を掛けてこられるのは業務妨害です。この会話は録音させていただきます。“責任をとる”とはどういうことか教えてください」

 C子さんがこう言った途端、電話は切れました。それ以来、このお客様からは電話が掛かってこなくなりました。

標的にされたスタッフを気遣い
チームプレーでサポートする

 電話というのは対応者の顔が見えず、対面よりも攻撃的なクレームが多いという特徴があります。

 そのため、クレーム対応の現場ではチームプレーがとても重要であり、チームプレーができていない職場の休職率、離職率が必然的に高くなる傾向にあります。

 このようなハードクレームに対処するためには、「ハードクレームが発生している」と、周囲のスタッフが気づき、サポートに入る必要があります。対応者本人も気づいてもらうために、決められた合図を出すなどの対策が必要です。

 1人あたりの対応時間の目安は、30分以内が基本です。対応しているスタッフから合図が出なかったとしても、30分以上対応している場合は、声を掛け、交代しましょう。

 ただし、心配だからと、あまりにも短い時間で対応者を交代してしまうと、相手はたらい回しにされたと感じ、怒りを増幅させかねません。お客様の要求をしっかり把握するためにも、最初のヒアリングはきちんと行いましょう。

 フォローし合う体制ができれば、現場では自然と「ありがとう」という感謝の言葉が交わされるようになります。チームワークのある現場では、人間関係も円滑になり、職場環境も良くなります。状況共有ができているため、スタッフが孤立せず、相談しやすくなります。

 ハードクレーム対応というネガティブな出来事を逆手にとって、団結力のある現場・強い組織をつくることができるのです。