ハードクレーム対応の心構え(3)
組織の方針・ルールに沿って行動する

 日々、目の前のクレームに注力して対応していると忘れてしまいがちですが、どんな仕事であっても、あなたは「組織の一員・代表」として対応をしています。

 お客様から「お前の、そのいい加減な接客態度は何だ!」とクレームを受け、これがきっかけでハードクレームに発展したとしても、その対応はあなただけの仕事ではありません。「私の態度が悪かったお詫びに、今購入された商品を値引きします(私のせいなのだから自分がその差額を負担しよう)」などと、上司の指示なしに勝手な対応をしてしまうのは、出過ぎた行為です。

「閉店時間に間に合わないから、あと15分だけお店を開けておいてほしい」という無理な要求に対し「分かりました。では今回だけは私がお待ちします(私が残業すればいいだけ)」といった特別扱いも絶対にいけません。

 このような対応をしてしまうと、相手は「前の人はやってくれたのに」と次回以降も同じように無理な要求を組織に繰り返し要求してくるようになります。

「組織の一員・代表」として、組織の方針をお伝えするのが、あなたの役割であり、責務です。開店時間、閉店時間が決まっているのも、組織の方針であり、そこには意図があります。クレーム対応の仕方のマニュアル、ルールも、組織としての方針をまとめたものなので、一スタッフの判断で変更してはいけません。

 もし、現場の状況とマニュアル・ルールが合っていない場合は、マニュアル・ルールの改良を組織、上司に提言してください。現場スタッフ皆で声を上げてもいいでしょう。マニュアル・ルールを定めるのは組織の仕事であって、現場、それもスタッフの仕事ではありません。スタッフの役割は、方針の順守を徹底して行うことです。

 また、不当な要求を押し付けてくるお客様に対して、話を聞き続けていても埒が明かず、他の業務に支障が出るようであれば、お客様対応を切り上げするという判断も必要です。組織が設定したルールに従って判断しましょう。

 一定の対応方針の下で行動しないと、要らぬトラブルを招きます。訴訟になることもあります。組織の一員としてスタッフ全員が一貫した対応をすることができてはじめて、ハードクレームを減らせるのです。

 ハードクレームが発生したら、以上3つのポイントを意識して対応しましょう。