【メリット(4)】「成長投資枠」と「つみたて投資枠」との併用が可能

 旧制度では、一般NISAとつみたてNISAを同じ年に一緒に利用することは不可でしたが、新NISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠の両方の枠を同時並行で併用することができます。

 資金的に余裕があり、成長投資枠の利用が年間非課税投資額の240万円を超えそうな場合には、検討する価値があります。

 大きくバージョンアップしたことで、新NISAは資産形成に役立つ強力な「武器」になったと考えています。

 自分のライフスタイルやニーズに合わせた投資が可能になったことも、見逃せない変更点といえます。

新NISAを上手に活用するため
前もって注意すべき点とは?

 旧制度と比較して、新NISAは格段に使いやすくなりましたが、それを上手に活用するためには、前もって注意しておくべきことがあります。

 新NISAには、次のような2つの注意点が考えられます。

【注意点(1)】「損益通算」ができない

 新NISAの「旨味」は、非課税枠が拡大され、その期限が無期限化されたことにありますが、こうしたメリットは利益が出て初めて享受できるものです。

 株を持っている企業が配当金を出し続けてくれれば、ダイレクトに恩恵を受けることができますが、「無配」(配当金なし)になると非課税のメリットはありません。

 その企業が無配になると、株価が大きく下落することもありますが、そうした状況で売却を考えた場合、特定口座や一般口座で利益が出ていたとしても、それらの課税口座と「損益通算」(損失と利益を相殺すること)ができません。

 損益通算ができないことが、他の課税口座と大きく異なる点です。

【注意点(2)】確定申告で「損失の繰り越し」ができない

 株式投資で損失が出た場合、確定申告をすれば、3年間の繰り越しで翌年以降の利益と相殺できる「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」を受けることができますが、新NISAはこの控除を受けることができません。