パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

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活況をみせる
スタートアップの採用市場

スタートアップというと、「採用数が少なくて、選び抜かれた少数精鋭が働いている」という印象がないでしょうか。そのため、転職したくても採用されるのは難しいと感じる人がいるようです。

しかし、これは事実ではありません。スタートアップとひと口にいっても、創業したばかりの会社もあれば、すでに大きな組織になっている会社もあります。

たとえばクラウドワークスの場合、2023年度は年間100人規模の人材採用を宣言していますし、転職支援サイト「ビズリーチ」を運営するビジョナルの社員数は約1800人と大規模なように、創業15年程度で社員数1000人を超えるスタートアップは少なくありません。

大企業のほうが
社員数を絞っている時代

スタートアップの資金調達額は10年で10倍に膨れ上がっており、スタートアップの数そのものも急増しています。さらに政府は2027年までにスタートアップを10万社に増やそうとしているわけですから、今後ますますスタートアップへの転職は珍しいものではなくなってくるでしょう。

今は大企業のほうが、社員数を絞っている時代です。たとえば、みずほフィナンシャルグループは、2026年度までに約1万9000人をリストラする計画を明らかにしていますし、三菱UFJフィナンシャル・グループや三越伊勢丹ホールディングスといった大手も、次々と大規模なリストラ計画を発表しています。

そして、スタートアップの平均給与は上場企業の平均給与を超えているのです。

これまでの価値観とは
正反対の現象が起きている

「大企業を目指すのが正統で、大企業に入れば安泰。スタートアップに入るのは異端で、スタートアップに入るのは危険」というこれまでの価値観とは正反対の現象が起きはじめていることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

もちろん、スタートアップに入ったとしても、事業が成長せずにリストラが実施されたり、会社がつぶれてしまったりする可能性はあります。実際、東京商工リサーチによると、倒産した企業のほとんどは中小企業であり、大企業のほうが存続する可能性は高いと考えられます。

人生のオプションを広げる「就職・転職先」ベスト1

ただし、スタートアップに転職し、その働き方に慣れると、会社に依存しない能力が培われてきます。そして、たとえ勤務先が倒産したとしても、他のフィールドで活躍できる実力が培われます。

人生のオプションが広がる

自分の能力をよりどころにして、何かあれば別の会社に転職したり、自ら起業したりすることも可能になるのです。

スタートアップからスタートアップへの転職はすでに日常茶飯事であり、スタートアップで力をつけた人材が大企業に就職するケースも、僕はたくさん見てきました。

独立・起業という選択肢もあります。情熱があふれる職場に入り、切磋琢磨して成長することで、人生のオプションも広がっていくのです。

「起業家精神を持つ人」になる

もちろん、スタートアップのみならず、どんな企業であっても安泰ということはありません。安泰のためにもっとも大切なのは、自分の人生を自分でコントロールする力を身につけること、自立して目標を設定し、行動できる「起業家精神を持つ人」になることです。

転職を考えている人は、ぜひスタートアップを有力な候補として考えてみてください。

※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。