10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭でも取り入れられるそのノウハウを紹介する。
優秀な子に共通することはいろいろあるが……
本書では、いろいろと優秀な子の特徴を書いていますが、その中でも、子どもの能力を伸ばすために最も大事なことは「家庭内が平和であること」です。
家族が仲良く過ごすことと言ってもいいでしょう。一緒にソファに座ってお笑い番組でも見ながら、笑っていてください。
なぜなら、子どもにとってそれが一番の安心だから。特に、小さい子は安心できる環境があって初めて勉強に集中することができるのです。
りんご塾に来ている子を見ていても、家でごたごたがあったときは一発でわかります。うっかりミスが多かったり、イライラしていたり。
もし、夫婦間で意見の不一致があったり、トラブルを抱えている場合は、プロ(弁護士や税理士、カウンセラーなど)に相談して早期解決を図るのが得策です。
環境と意欲の関連性は、心理学でも重視されている
「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」と仮定した心理学者・アブラハム・マズローの唱えた「自己実現理論」をご存じの方も多いでしょう。
「自己実現理論」というのは、人間の欲求を5段階に分けて理論化したもので、「マズローの欲求階層説」とも言われています。5つの階層は下から順に、①生理的欲求(生命を維持したいという欲求)②安全欲求(安心できる生活空間を求める欲求)③所属と愛情欲求(誰かに認められたいという欲求)④自尊欲求(自分で自分を認め、高めていこうという欲求)⑤自己実現欲求(さらに自分の能力や可能性を高めたいという欲求)です。
マズローによると、人間の基本的欲求というのは、一番下の①生理的欲求から順々に満たされていくものであり、途中で満たされないものがあると、その上の欲求を充足することはできないそうです。
また、一度その階層で欲求が満たされると、その階層では満足できなくなり、次の階層の欲求が活性化していくそうです。つまり、①や②の「安心できる環境」があって初めて、褒められたいと思ったり(③)、勉強を頑張ろうと思ったり(④)、もっと努力しようと思えたりする(⑤)ということです。
*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。