(3)男女別姓やLGBTに関する考え方。無党派層に多い若い選挙民は、この2点については極めて柔軟です。LGBTについては、同性婚問題が米国の分断、ロシアでの弾圧と国際的議論のテーマになっています。日本でも定見を持たない政治家は「国際政治オンチ」という評価を下され、若者からも見放されるでしょう。自民党内で総裁になるだけなら、男女別姓賛成で通用するかもしれませんが、その先の政権交替をめぐる総選挙の顔にはなりにくい。メディアも政治家をこうしたポイントでチェックするようになっています。

なぜ最終学歴が総裁選に重要なのか
岸田退陣に見る前政権の呪縛

 さて、読者の皆さんからは、(4)最終学歴を比較項目に入れたことに、反発があるかと思います。私は学歴が高い人が立派な人、頭がいい人だとは毛頭考えていません。自分自身が地方の偏差値が高いとは言えない大学に勤務してから、中学・高校とどこかの段階で先生と合わなかったり、家庭的に問題が起きて通常の模擬試験に対応できなかったりして、このような偏差値となり、この大学に来たのだろうという学生に大勢遭遇しました。そして彼らが、長所を見つけて、誉めて、目標を作らせれば、一部上場企業に堂々と合格するのも見てきました。ですから、学歴で人を評価するつもりは絶対ありません。

 ただ、今回の岸田退陣劇を見ると、彼の支持率の低さは岸田氏のせいというより、安倍・菅の10年にわたる長期政権が残した負の遺産の後始末に追われたようなものだと、気の毒に思っています。それが「最終学歴」を項目にいれる理由となりました。

 統一協会問題、安倍派ウラガネ問題、アベノミクスの後始末(円安、物価高、原油高)。これらは、すべて安倍政権の負の遺産です。結果的にやり遂げたのは、自分自身の判断による派閥解散であり、これはむしろ画期的なことでした。

 なぜ、岸田退陣に「最終学歴」が関係するかといえば、第二次安倍政権が成立したとき違和感を覚えたことが原因です。それは、トップの安倍首相・麻生副首相が二人とも成蹊大、学習院大と、良家の子弟が集まるイメージが強い学校で、エスカレーター式に進学したことです。そのせいもあるためか、自分に都合のいい話や理論を信じやすく、多角的に物事を観ることを苦手としている印象があります。マンガが大好きな麻生太郎氏が熟語の読み間違えを連発したのも、氏の「勉強嫌い」を証明しているのではないでしょうか。この二人がコロナ禍で科学的な問題への対応に出遅れたのも無理はありません。