自民党の中で羽振りを利かせていた旧派閥の長や長老議員の力で推薦人の数を揃えて、立候補したところで、政権交替を望む選挙民の方が多ければ、相当多難な政権運営となります。ただ、自公が破れたとしても、野党連合で政権ができるとは限りません。維新などが自民と連合するなり、政策協定を結んで保守政治が続く可能性もあります。逆に自民党の大きな変化を望み、それを実現しようとする公約を発信し、変革を以前から主張してきた人物なら、総選挙で無党派層の保守派以外の投票も計算でき、自民党は政権内部に残り、自民党内から首相を出すこともできます。

 党内や自民党支持者だけを見て総裁候補を決めても、今回は自民党が総理を出せる可能性はそれほど大きくないということを、厳粛に受け止めているメディアや政治家が、多数いるとは思えません。いわく「清新な人材」あるいは「かつての自民党のイメージを変える人材」などと条件を語る人々はいますが、単純に若いイメージを打ち出せても、政策が今の自民党に近い印象なら、無党派層の票はとれません。「清新だから」「女性だから」「見映えがいいから」といった表面的な部分で騙されるほど国民は自民党に甘くないと、今回の選挙では覚悟するべきでしょう。

かつてない目線で斬る
新総裁に向く人、向かない人

 いつもの私の連載記事なら、出会った政治家たちのエピソードを並べて、総裁選を楽しんでいただくのですが、今回は、少し真剣に、総裁候補になることを模索している人々について、重要なポイントを表にまとめてみました。

 たとえば、(1)世襲かどうか。自民党の腐敗体質、金権体質は「世襲議員」が多いことが大きな理由です。

(2)地元の高校を出ているかどうか。多くの世襲議員にとって、議員である親は週末のみ地元に帰り、普段は東京暮らしだったことでしょう。そして有力政治家の子どもが地元から離れて東京にいては、地元のことはわかりません。選挙民の厳しい目もわかりません。こんな二世ばかりになった自民党に、首都圏一極集中や格差社会の問題点などピンとこないのは当然なのです。